「いつ私たちがプライバシーを放棄したのでしょうか」JOCアスリート委が選手のプライバシー保護求める声明 パリ五輪前に異例の訴え

 日本オリンピック委員会(JOC)のアスリート委員会は12日、パリ五輪を前にアスリートのプライバシー保護に関する声明を発表した。近年のインターネット、SNSにおける情報拡散、プライバシーの侵害が社会問題となる中で「TEAM JAPANの選手一人ひとりが競技に集中し大会に臨めるよう」選手への配慮を求めた。

 全文は次の通り。

 「アスリートのプライバシー保護に関する声明

 現在、アスリートに対するプライバシー侵害が頻繁に起こっています。交際相手から住んでいる場所に至るまで、過剰な情報が暴露され、それによる被害も深刻化しているものもあります。インターネットが発達した現代においては、真実か否かにかかわらず、プライバシーに関する情報は瞬く間に拡散され、半永久的に残ってしまいます。

 私たちJOCアスリート委員会は、このような現状に強い懸念を表明するとともに、アスリートが競技に集中し活躍するため、引退後も充実した人生を歩むためには、プライバシーの保護が極めて重要であること、アスリートにも尊重すべきプライバシーが存在することを改めて訴えます。

 『著名人だから』という理由でプライバシーを放棄したのではないか、と指摘されることがあります。しかし、いつ私たちがプライバシーを放棄したのでしょうか。私たちは、自分自身のため、応援していただける方々のためにスポーツに真摯に取り組み、時には国を代表して戦うこともありますが、だからといって他の人たちと同様にプライバシーが尊重されることを諦めてはいないのです。必要以上の情報が過剰に暴露されてしまう場合には、競技に集中する環境が損なわれるだけでなく、生活の平穏が失われる恐れもあります。

 特に、オリンピックという4年に1度しかない大きな舞台でのプライバシー侵害は、人生をかけた長年の努力を無にし、選手生命を絶つことにも繋がりかねないものであり、私たちは強い危機感を抱いています。

 国際オリンピック委員会(IOC)によるアスリートの権利と責任宣言においても、個人情報の保護を含むプライバシーの重要性が記載されています。また、この春、国内のスポーツ界では日本プロ野球選手会がプライバシー尊重に関する声明を発表しました。メディアやインターネット事業者においても、プライバシー尊重についての取り組みが始まっています。時代とともにプライバシーに対する社会の意識も変化しており、誰もが安心して暮らせる新しい社会に向けた動きが広がっています。

 私たちJOCアスリート委員会は、アスリートが競技に集中し、子どもたちを含むすべての人たちが安心してスポーツを楽しめる環境を守るため、プライバシー保護のための取り組みを進めてまいります。

 2024年7月12日JOCアスリート委員会」

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