420日ぶり炎鵬 涙の第一歩7年ぶり序ノ口で再発進 声援に万感「言葉がない」脊髄損傷から復活
「大相撲名古屋場所・2日目」(15日、ドルフィンズアリーナ)
首の故障により昨年夏場所から7場所連続で休場していた元幕内の西序ノ口13枚目、炎鵬(29)=伊勢ケ浜=が420日ぶりに復帰。清水海(境川)に上手出し投げで敗れたものの、再起への一歩を踏み出し、涙を浮かべた。幕内では横綱照ノ富士が明生を寄り切り2連勝。初日に全敗だった3大関はそろって白星を挙げた。夏場所を制した関脇大の里は若元春に押し倒されて2連敗となった。
不撓(ふとう)不屈の小兵が土俵に舞い戻ってきた。昨年夏場所9日目に首を痛めて、7場所連続休場。三賞受賞経験もある元幕内の人気力士・炎鵬が、7年ぶりに序ノ口へ番付を落としながらも、420日ぶりの土俵に館内からは「炎鵬頑張れ!」の声援が鳴り響いた。
「今日まで自分がやってきたことを皆さんに見せようと。何が何でも真っすぐにいこうと思った」と万感の思いを込めて真っ向勝負。日大出身の清水海に、立ち合いから頭でぶつかった。上手出し投げに屈し、復帰戦を飾れなかったものの、取組後は「よくここまで戻ってこられたな」と胸を張った。
目には光るものがあった。昨夏痛めた首の故障は脊髄損傷の重傷。入院先の病院で約2週間ほぼ寝たきりの状態になり、一度は再起不能寸前に追い込まれた。長く苦しいリハビリ生活を乗り越え「言葉がない。感謝しかない」と声を震わせた。
幕内経験者の序ノ口転落は昭和以降6人目。もっとも下の地位からの再発進に「その日その日を後悔しないように。この気持ちを忘れずにやっていきたい」と前を向いた。小柄な体を目いっぱい生かした相撲で、再び土俵を盛り上げる。