「大相撲名古屋場所・７日目」（２０日、ドルフィンズアリーナ）

　横綱照ノ富士に平幕宇良が果敢に挑んだ結びの一番を、幕内後半戦の審判長を務めた九重親方（元大関千代大海）も「美しい相撲だった」と絶賛した。

　全勝の横綱に対し、宇良は休むことなく動いて、左からのとったり、右からの肩すかし、頭をつけての右下手出し投げで土俵中央をグルグルと回るなど、多彩な技を連発。だが、照ノ富士を崩すことはできず、最後は右下手を深くとられて力尽きたかのように土俵を割った。さらには横綱に会釈するようなしぐさを見せた。

　館内から万雷の拍手が送られた大熱戦に、九重親方も「宇良に勝機はあったけど。横綱も慌てなかった。最後は右を差して、宇良は参りましたとは言ってないけどそういう相撲。美しい相撲だった。もう力は出ませんと」と高評価。「横綱も背中をぽんとたたいて、気持ちをくんで、けがさせないようにと。見ていて鳥肌がたった。横綱の振る舞い。美しい相撲だった」と相手を尊重する姿勢を含め、両者に賛辞を惜しまなかった。