尊富士 大歓声かみしめる119日ぶり復帰戦白星 右足首の不安「あり」も十両残留→再入幕へ再発進

 「大相撲名古屋場所・8日目」(21日、ドルフィンズアリーナ)

 十両尊富士(25)=伊勢ケ浜=がこの日から途中出場し、阿武剋を寄り切った。110年ぶりの新入幕優勝を飾った春場所の14日目に右足首を痛めた影響で夏場所を全休し、今場所も初日から休場。119日ぶりとなる復帰戦を白星で飾った。幕内では横綱照ノ富士が湘南乃海を押し出し、自身7度目の中日勝ち越し。かど番の大関貴景勝は関脇霧島を押し出し、3勝目を挙げた。全勝の照ノ富士を大関琴桜、正代、美ノ海の3人が2敗で追う展開となった。

 歴史的快挙を成し遂げた若武者が戻ってきた。十両とは思えない声援が飛ぶ。「今まで土俵に上がって聞こえなかった一人一人の声が届いた。『おかえり』とか。硬くなっていたけど、自分を信じていきました」。新入幕Vから約4カ月ぶりの本土俵で、尊富士はファンの期待をかみしめた。

 7日目まで1敗の阿武剋を寄せ付けなかった。鋭い踏み込みで左を差すと、右も巻き替えて一気に寄って勝負あり。復帰戦で自慢の速攻がさえた。関取衆との実戦稽古は熱海富士と少しこなした程度でも、調整不足を感じさせなかった。

 20日に出場の希望を伝えた際、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)には「出るからに勝たないと。そこは意識していけ」と告げられたという。靱帯(じんたい)を損傷した右足首の不安は「あります」と認めつつ、それでも「慣れないけど、やっていくしかない」と覚悟は決めている。

 髪は伸び、初めての大銀杏(おおいちょう)を披露。快勝での復帰も「変わらないです。何かあったら喜ぶわけではない」と淡々と受け止めた。十両残留とその先の再入幕へ。「無理せずやるだけ」と地に足を着け、再スタートを切った。

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