大関復帰あきらめん!霧島執念の5勝目 残り6日でノルマ5勝「思い切りいくしかない」 11戦全敗の壁打ち破る
「大相撲名古屋場所・9日目」(22日、ドルフィンズアリーナ)
関脇霧島が平幕明生を寄り切り、5勝目を挙げた。1場所での大関復帰条件となる10勝には、残り6日で5勝が必要。10日目は過去11戦全敗の横綱照ノ富士戦で初白星をもぎとり、勢いをつける。照ノ富士は小結大栄翔を上手出し投げで下して土つかずの9連勝。大関琴桜は新小結平戸海を押し出し、2敗を守った。かど番の大関貴景勝は御嶽海を押し出し、4勝目を挙げた。全勝が照ノ富士、2敗が琴桜と平幕美ノ海の2人となった。
絶対に食らいつくという執念がにじんだ。霧島は愚直に前傾の姿勢を保った。立ち合いで明生に押されて俵に足がかかっても、頭を上げない。左に回り込みながら頭をつけて右でまわしを引くと、一気に前に出て勝負をつけた。
「久しぶりにまわしをとって早く出た。それがよかった」。自分の形になった相撲に、少しだけホッとした表情が浮かんだ。初日から3連勝の好発進後に3連敗。立ち合いで強く当たれず迷路に迷い込んだ。必死に不振脱出のきっかけを模索する中、師匠の音羽山親方(元横綱鶴竜)のアドバイスに糸口を見つけた。
「負けた相撲は当たっていなかったり、高くなったり、引いたり。師匠から言われて朝、稽古場でいろんなことを教えてもらった」。頭を上げず、上体を起こさず、引かない。教えを守ろうと努めた効果はてきめん。「言われた通りにやったら、立ち合いはそんなに当たれてないけど、その後の流れがよくなった」と、復調の兆しを実感した。
大関に返り咲くには、あと5勝がノルマ。立ち合いの課題は残るが「戻すために、しっかり稽古場でやっている」と、故障を抱える首の不安と戦いながら修正を図っている。10日目は初顔から11連敗中の照ノ富士に挑む。「今まで勝ったことがないので、思い切りいくしかない」と覚悟は決めた。大関の座を取り戻すべく、今度こそ横綱の壁を打ち破る。