貴景勝 2度目大関陥落「弱い者は落ちる」 照ノ富士にはたき込まれ8敗目 前回と「中身まるっきり違う」

 「大相撲名古屋場所・13日目」(26日、ドルフィンズアリーナ)

 9度目かど番の大関貴景勝は横綱照ノ富士にはたき込まれて8敗目を喫し、2場所連続負け越しで来場所の関脇転落が決まった。2019年秋場所でも関脇に落ちており、大関陥落2度は、現行制度となった1969年名古屋場所以降では19年九州場所の栃ノ心以来5人目となった。1敗を守った照ノ富士を、3敗で隆の勝と美ノ海の平幕2人が追う展開。照ノ富士は14日目の隆の勝戦に勝てば、3場所ぶり10回目の優勝が決まる。

 何度も逆境をはね返してきた貴景勝が、ついにかど番の俵を割った。大関在位通算30場所目。支度部屋では、感情を押し殺すように表情を変えず「強いヤツは大関にいるし、もしくは上に行くし、弱い者は落ちるべきだと思う」と、陥落する現実を受け入れた。

 照ノ富士に捕まることなく、三度、四度とぶつかった。さらに前に出ようと頭が下がった瞬間、横綱のねじ伏せるようなはたきに腹からバッタリ。すぐに立ち上がれず土俵に視線を落とす姿に、ショックがにじんだ。

 5年前は右膝のケガの治療を優先して初かど番の名古屋場所を全休し、関脇転落を経験。同秋場所で12勝を挙げて1場所で大関に復帰した。今回は慢性的な首の痛みを抱えての転落。「年齢も重なって、落ちたということは一緒だけど、中身はまるっきり違う」と、さらに厳しい状況にあることを自ら認めた。

 大関陥落2度は69年以降で過去4人、昭和以降では6人いるが、2度とも返り咲きを果たしたのは栃東(現玉ノ井親方)1人しかいない。今場所残り2日については「今までやってきたことを出し切るだけ」と気丈に語った貴景勝も、来場所に向けては「まだ場所があるので、先のことは」と話すにとどめた。

 現役では照ノ富士に次ぐ4度の優勝を誇る。大関となって5年、27歳にして相撲人生の大きな岐路に立たされた。

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