照ノ富士 勝てば優勝の一番でまさか金星配給 八角理事長「たぐったのが失敗だった。楽にいこうと思っちゃった」
「大相撲名古屋場所・14日目」(27日、ドルフィンズアリーナ)
3敗だった平幕隆の勝が1敗だった横綱照ノ富士を寄り切り、初優勝の望みをつないだ。直接対決で通算3個目の金星を挙げ、優勝決定を阻止。過去に例のない13日目終了時2差からの逆転Vの可能性を残して、千秋楽に臨む。賜杯の行方は2人に絞られ、千秋楽で2敗の照ノ富士が大関琴桜に勝つか、隆の勝が関脇大の里に敗れれば、照ノ富士が3場所ぶり10回目の優勝。照ノ富士が敗れて隆の勝が勝った場合のみ、優勝決定戦となる。
勝てば優勝の一番で、照ノ富士がまさかの金星配給。取組を見届けた八角理事長(元横綱北勝海)は、横綱の心境を「たぐったのが失敗だった。楽にいこうと思っちゃった」と読み取った。
今場所は初日から10連勝。後続がついてこれず、優勝決定戦制度ができた1947年6月場所以降で初の12日目V達成かと、その強さが際立っていた。
八角理事長も「精神的に強い。今場所はいつもの休場明けとは違う。最後だと思うぐらいできたのでは。一人横綱は大変なこと。照ノ富士は横綱になってから成長したと思う」と、2場所連続の休場明けながら場所を引っ張る姿に最大の賛辞を贈っていた。
照ノ富士も気を引き締めて臨んでいたはず。10連勝の取組後は「まだ5日もありますから、何とも言えない」。初黒星を喫した11日目は無言だったが、その後も「あと3日ありますから」、「あと2日ありますから」と優勝の話題には乗ってこなかった。千秋楽まで戦い抜くことしか考えていない。不覚を取った翌日だからこそ、最後はビシッと締めてくるはずだ。