体操・宮田笙子 満身創痍も「ずっと応援して下さった福井県の方々を思って」V貢献 五輪辞退騒動後初実戦で謝罪と涙

 最初の跳馬に臨む前に涙を見せる宮田笙子(撮影・石井剣太郎)
 ゆかの演技でポーズを決める宮田笙子
 自身の不祥事について謝罪する宮田笙子
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 「国民スポーツ大会・体操」(7日、SAGAサンライズパークSAGAアリーナ)

 団体総合で争う成年女子で、パリ五輪開幕直前の7月に飲酒、喫煙問題で日本代表を辞退した宮田笙子(19)=順大=が騒動以降では初の実戦で、五輪代表入りを決めた5月のNHK杯以来約4カ月ぶりの試合に臨んだ。福井県代表として3種目に出場し、チーム合計213・096点で6年ぶり6度目の優勝に貢献した。成年男子で、パリ五輪3冠の岡慎之助(20)=徳洲会=が五輪後の初の実戦に臨み、出場した岡山県は合計323・025点で5位。大阪府が優勝した。

 前代未聞の騒動から、涙、涙の“再出発”となった。最初の跳馬前から涙ぐんでいた宮田は、緊張の面持ちではあったが、4種目中3種目で演技をこなし、福井県の優勝に貢献した。跳馬は5位、平均台は4位、12位だった最後の床運動を躍動感あふれる演技で終えると、号泣して仲間と抱き合った。

 五輪代表辞退騒動後、初の公の場。報道陣の前では開口一番、謝罪した。「この度は私がとった行動で多くの皆さまにご迷惑をかけてしまい深く反省しております。申し訳ありませんでした。この件に対し真摯(しんし)に向き合い、今後の競技生活を全うして参りたいと思います」。事の重大さを受け止め、険しい表情で頭を下げた。

 再起の場には覚悟を決めて挑んでいた。鯖江高の恩師・田野辺満氏によると、大会直前は両足首が「骨折に近いぐらいの状態」で、5日の段違い平行棒の練習でぎっくり腰も発症するなど、満身創痍(そうい)だった。

 大事な一戦でもあるだけに、もちろん「不安もあった」が「ずっと応援してくださった、特に福井県の方々を思って最後までやりきることが使命だと思っていた」と強行出場。仲間を全力で応援し、時には笑顔も見せた。「福井県のみなさんのおかげ。先輩、後輩たちが笑顔で迎え入れてくれて『お帰りなさい』って言ってくれたので本当に感謝しきれない。うれし涙です」と感極まった。

 現在は第三者機関が事実関係を調査中。処分などは決まっておらず、今後の予定も未定だ。ただ、心の内は定まった。「またここから自信の持てる演技を積み上げて、今以上に大好きな体操を誰より楽しめるように頑張りたい」。目を赤くした日本のエースが、初心に返って再スタートを切った。

 ◆宮田笙子(みやた・しょうこ)2004年9月21日、京都市出身。中学3年で福井県鯖江市の学校に転校した。鯖江高を卒業後、順大に進学。24年の全日本個人総合選手権で初優勝した。NHK杯は24年大会で3連覇を達成。世界選手権は22年に種目別平均台で銅メダルを獲得した。得意種目は床運動と跳馬。座右の銘は「人のことを言う前に自分の足元を見よ」という意味の「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」。151センチ。

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