霧島 ヒヤリ物言い決着 1差キープ 番付の重圧から解放らしさ戻った 賜杯争いに「何も考えてない」
「大相撲秋場所・7日目」(14日、両国国技館)
関脇霧島が琴勝峰を寄り倒しで下した。物言いがつく際どい内容となったが、行司軍配通りで1敗をキープ。首の故障や番付死守の重圧から陥った不振を脱却し、元大関が愛する娘のためにも再起を図る。大関琴桜は若元春に手痛い2敗目を喫して後退。大関豊昇龍は正代を押し出して3勝目を挙げた。関脇大の里は小結平戸海を圧倒し、ただ一人全勝を守った。
輝いていた頃の霧島が少しずつ戻ってきた。最後は物言いがつく決着に「きれいにやられたと思った」と正直に苦笑い。それでも、攻めの姿勢を崩さずにつかんだ白星に「足が出ていたしよかった。次につながる相撲」と自身もうなずけた。
立ち合いから突き放して、左四つで組み合った。土俵際では琴勝峰が目いっぱい体を反らしながらうっちゃり。霧島の右足は土俵の外へ大きく踏み出した。軍配は霧島へ上がったが物言いがついたものの、軍配通り。幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻)は「琴勝峰の体がなかった」と説明した。
春場所前から抱えた首の故障で大関の座を明け渡した。名古屋場所では10勝を挙げての返り咲きへ必死だった。いつの間にか番付の重さに振り回されていた。「落としたくないって気持ちはあった。そこで顔色がちょっと悪いのはあったのかも。今場所はもうゼロからなんで」。重圧から解き放たれた表情には前向きさが宿っている。
再起を図る元大関は4歳のまな娘・アヤゴーちゃんの存在を力に変える。関取の名前を覚えだした娘は、父から次の対戦相手を聞くと「でもパパもっと強いんでしょ?」と信じてくれる。2番手で追う賜杯争いに「まだ早い。何も考えてないよ。顔じゃない」と口ではひょうひょうと答えながらも、家で待つ最高のファンのために勝ち続ける。