大の里についに土 九重審判長は実力者・若隆景を絶賛「腰高になった一瞬の隙を見逃さなかった」
「大相撲秋場所・12日目」(19日、両国国技館)
関脇大の里(二所ノ関)が平幕若隆景(荒汐)に寄り切られ、今場所初黒星を喫した。大関とりの目安とされる三役での直近3場所33勝も、あと1勝に迫ったところで小休止となった。
三役経験者の実力者相手に2度のもろ差しを許すなど、今場所はあまり見せていなかった脇の甘さを突かれた。「昨日から良くなかった。昨日の落とし穴にハマった感じがする」と物言いがついた11日目(琴勝峰)戦からの流れを反省した。
一方で、連勝中は言葉数が少なかったものの、敗れたことで重圧から解放された。報道陣から「張り詰めていた部分があったのでは?」と問われると、「そうですね。気持ち的にすっきりしたと思う。明日からまた頑張ります」と気持ちを新たにしていた。
幕内後半戦の九重審判長(元大関千代大海)は大の里の初黒星にも「いつも通りだった。雰囲気は淡々として仕切っていて、呼吸を合わせていた。力んでいるわけでもなく、勝ってきた大の里の雰囲気だった」と評価。むしろ土をつけた若隆景を「低い姿勢で、足をぶつかり稽古のときのようにすりながら、俵の感覚で足でつかんで、大の里が腰高になった一瞬の隙を見逃さなかった。2本入ってからはね。立ち合いまでは大の里の当たり勝ちから、一瞬ひやっとなるまでは大の里だった感じ。そこからは若隆景の作戦勝ち。俵を使って攻め返す。二本入ったら絶対負けないというね。途中でつぶされそうになったが、よく残った。気持ちでしょうね。若隆景にしたら、先輩のプライドもある。相撲が終わった後もいい顔をしていました」と絶賛した。
師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は「相手の腰が浮かなかった。あれが若隆景の良さ」と若隆景の強さに目を見張り、大の里については「まだまだ」と厳しめだった。