大の里 大関昇進目安33勝到達&V王手 取り直しの一番は必勝パターンで寄り切り 八角理事長「いい流れだった」
「大相撲秋場所・13日目」(20日、両国国技館)
関脇大の里が、大関昇進の目安とされる三役での直近3場所合計33勝に到達した。取り直しの末に、大関琴桜を寄り切り、1敗を死守。2敗が消え、後続との差を2に広げた。14日目に大関豊昇龍に勝てば2場所ぶり2度目の優勝が決まる。大関豊昇龍は関脇霧島を切り返しで退け、7勝目。1敗の大の里を、3敗で霧島、平幕の若隆景、錦木、高安が追う展開となった。
執念をのぞかせ、九死に一生でつかんだ夏場所からの33勝目。取り直しの一番を制しても、大の里の胸の内は「良くはない。勝ちはないかと正直思っていた」と納得がなかった。それでも、大関とりの目安となる直近3場所での星数をクリア。初土俵から所要9場所、昭和以降史上最速の新大関誕生に当確ランプがともった。
土俵際の際どい勝負にもつれ込んだ最初の一番。突き落としを食らって土に触れそうになった左手をこらえたが、完全に俵の外へ飛んでしまった。一方で、琴桜も同じタイミングで左足が土俵の外に。軍配は琴桜に上がったものの、物言いがついて館内は騒然となった。
幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻)が「大の里の体と琴桜の足と。こっちは一瞬だから分からないけど、ビデオ室も難しかったんじゃないの」と首をひねる微妙な判定。それでも、土俵下で待つ大の里の表情は変わらない。ここに勝因があった。
「気持ちだと思っていた。切らさずに土俵の下で待っていた」
取り直しの一番は今場所の必勝パターン。息の上がっていた相手に対し、軽い動きで右差し、左おっつけで寄り切った。八角理事長(元横綱北勝海)も「今の攻め、いい流れだったんじゃない」とうなずいた。
優勝に王手をかけた。後続との差は2に広がり、14日目にも2度目の優勝が決まる。立ちはだかるのは、不戦勝を除いて3敗を喫している豊昇龍。「まだ場所は終わっていない。あと2番集中する」と表情を引き締め、賜杯奪取へ“天敵”撃破といく。