貫き通した強くて優しいお相撲さん 引退の元大関貴景勝 子供たちの前で見せた180度違う顔

 2019年春場所千秋楽で、栃ノ心(左)を押し出しで破り10勝目を挙げた貴景勝
 引退会見で「やり切った」と語る貴景勝
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 「大相撲秋場所・14日目」(21日、両国国技館)

 13日目の20日に現役を引退した元大関貴景勝(28)=本名佐藤貴信、常盤山=が21日、両国国技館で記者会見した。2014年秋場所の初土俵から、10年間歩んできた相撲人生を振り返って目を赤くし、声を震わせながら「燃え尽きた」と語った。公私ともにストイックな姿勢で歩んできた元大関には180度違う顔が。

  ◇  ◇

 貴景勝は子供にめっぽう優しい。9度目のかど番で張り詰めたムードを漂わせていた名古屋場所。大関陥落が迫る中でも、子供たちの前では違った。朝稽古を見学した小学生を呼び寄せ、笑顔で「昨日も来てたな~」と話しかけてサインしていた。

 「当たり前のことじゃないですか。自分もやってもらってたんで」。自身も少年時代に巡業を見に行った際、サインをお願いした力士に優しく頭をなでてもらったりした。そのことは「今でも覚えている」という。

 食生活からストイックに取り組み、土俵に全てをぶつける厳しさとは180度違う顔。「せっかく相撲のプロの世界にいる。あのお相撲さんいいな、相撲っていい世界だなと思ってもらえるように」。自分が相撲を好きになったように、次の世代にも-。そんな思いで“強くて優しいお相撲さん”を貫き通した。(デイリースポーツ大相撲担当・藤田昌央)

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