尊富士が13勝目で再入幕へ前進 大関昇進の大の里へライバル意識「追いかけるつもりでこれから頑張る」
「大相撲秋場所・千秋楽」(22日、両国国技館)
十両優勝を決めていた尊富士(伊勢ケ浜)が13勝目を挙げ、再入幕に大きく前進。
“大尊時代”の始まりを告げた。尊富士は立ち合いから鋭く踏み込むと、左上手を引いて一気に時疾風を寄り切った。既に優勝を決めていたが、これで西十両11枚目で13勝2敗。1学年下の大の里が大関昇進を確実にした場所で、自身も再入幕へのラインに立った。
九州場所では同じ土俵で争う可能性が生まれた2人。昭和以降最速の大関とりを果たす大の里に対し、自身は春場所で両国以来110年ぶりの新入幕Vと歴史的な偉業を打ち立てた。先に賜杯を抱いたのは尊富士だったが「それは過去のこと」。2度目の幕内優勝で先を越していったライバルを「すごい方。僕は追いかけるつもりでこれから頑張る」と謙遜しながらも意識した。
完全復活は近い。春場所で負った右足首靱帯(じんたい)損傷などで、夏場所から2場所連続で休場。それでも今場所は相撲勘を失うどころか鋭い出足は健在だった。15日間の皆勤に安堵(あんど)した様子もつかの間「自分が納得する相撲を取れるように準備したい」と視線を九州場所に向けた。
多くの相撲ファンが期待するライバル関係。これからの角界を担う2人が土俵でぶつかれば、盛り上がりが最高潮に達するのは間違いない。だが、尊富士はどこまでも謙虚。「いろんな先輩がいたからこそ。僕と大の里関だけじゃなく、みんなで盛り上げられたら」と控えめな言葉に力を込めた。