優勝の大の里「さらに高みを目指して」昭和以降最速の大関昇進 師匠・二所ノ関親方も期待「ここからが始まり」

 優勝パレードに向かう大の里(右、左は欧勝海)
 二所ノ関親方(右)に水をつけてもらう(撮影・吉澤敬太)
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 「大相撲秋場所・千秋楽」(22日、両国国技館)

 昭和以降最速、前代未聞の“ちょんまげ大関”が誕生する。2回目の優勝を決めていた関脇大の里(24)=二所ノ関=は関脇阿炎に引き落とされて13勝2敗で場所を終えたが、敢闘賞と技能賞をダブル受賞。新入幕から5場所連続の三賞受賞となった。番付編成を担う審判部は、八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請し、了承された。過去に理事会で昇進を見送られた例はなく、25日開催の理事会と九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の番付編成会議を経て、正式に昇進が決まる。十両優勝を決めていた尊富士(伊勢ケ浜)は13勝目を挙げ、再入幕に大きく前進した。

 ちょっぴりバツが悪かった。V2と大関昇進に花を添える千秋楽の白星はならず。「勝って締めたかったけど、負けちゃったんですけど」。土俵下の優勝インタビューで素直な思いを吐露した大の里に、館内からも笑いが漏れた。それでも13勝2敗の好成績。「優勝という結果で終われてよかった」と続けると、温かい拍手に祝福された。

 取組は阿炎のもろ手突きに上体を起こされ、間髪入れずの引きにバッタリ。ただ、この1敗で評価は揺るがない。理事会招集を要請したと明かした審判部の高田川部長(元関脇安芸乃島)は「どんどん前に出て、相手を倒す相撲はすごく評価された。将来が楽しみ」と期待を込めた。

 初土俵から所要9場所の大関昇進は、羽黒山、豊山、雅山の同12場所を更新する昭和以降最速。新入幕から同5場所も昭和の大横綱・大鵬の6場所を上回る最速記録だ(年6場所制が定着した1958年以降新入幕)。初土俵から負け越しなしは、昭和以降では羽黒山、武蔵山(五分を含む)に次いで3人目となる。

 歴史的スピード昇進は伸びしろの裏返し。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)も13勝での優勝を「いいんじゃないですか」と認め、自身と並ぶV2は「抜くのは時間の問題じゃない?」と通過点の認識。そして「ここからが始まり。もっと良くなる。腰が割り切れていないので、割ってほしい」と課題を挙げた。

 初日の熱海富士戦の辛勝で始まった今場所。2日目から朝稽古での報道対応を控えた大の里は「リラックスしていてヤバいと思った。初日に命拾いしてよかった」と打ち明けた。メンタルが揺らいだ先場所の反省を生かした修正力が、大関の座を手繰り寄せた。

 大銀杏(おおいちょう)が結えないまま、25日の伝達式を迎える。「その番付が発表されたら、しっかりまたさらに高みを目指して頑張りたい」と力強く宣言した。前代未聞の“ちょんまげ大関”は、角界の頂点だけをしっかり見据えている。

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