田中希実、今後は「トップオブトップの一員になりたい」世界トップに刺激受ける マラソン挑戦は「今の力だと中途半端になる」
陸上女子1500メートルで21年東京五輪8位入賞の田中希実(25)=ニューバランス=が25日、都内で所属先の記者会見に登壇した。五輪イヤーとなった今季を「幸せだった一言に尽きる」と振り返った。
今夏のパリ五輪では1500メートルと5000メートルに出場。5000メートルでは予選落ちとなったが、1500メートルでは予選の接触による救済で準決勝進出。準決勝では3分59秒70の組11着で2大会連続の決勝進出は逃すも、東京五輪以来3年ぶり3度目の4分切りの快走に涙した。「幸せだった一言に尽きるかなと思っていて。本当に結果とか関係無く、オリンピックという大舞台にチームとして向かって行けたのにまず幸せを感じたのと、どんな結果であれ、自分が努力できたのが幸せだった。報われたとは言えなかったけど、オリンピックに出なければ味わえない思いだった」と改めて大舞台での奮闘を振り返った。
これまで、五輪での活躍や1500メートルと5000メートルの日本記録を打ち立てられたのは「目標設定をぼやかしてくることが多くてそれが逆にうまくいってた」からだという。ただ、「今年度はそのあたりの微妙な部分でトップとの差が出てしまったかな」と課題の部分でもあった。
課題克服の先の指標として、パリ五輪のマラソン金メダル、1万メートルと5000メートルで銅メダルのシファン・ハッサン(オランダ)と、パリ五輪の1500メートル金メダル、5000メートル銀メダルのフェイス・キピエゴン(ケニア)の2人の世界的選手の名前を挙げた。今季の激闘の中で「改めて世界のトップを目指したいと思い始めました。世界のメダルという形のあるものよりは、ハッサン選手、キピエゴン選手といったトップオブトップの雰囲気があって、いろんな選手に影響を与えている、その一員になりたい思いがすごく強くなった」と今後の目標が定まったという。
今後も1500メートルと5000メートルに主軸を置いていくが、将来的にマラソンなどの長距離に挑戦する考えも選択肢の一つにある。「今の力だと移行してもどちらも中途半端になるような気がしています」とすぐに挑戦はしないが、その時がくれば「できるだけの地力をつけた上でやりたい」と思い描いた。