樋口新葉が23歳でGP初V「練習を続けてきたご褒美かな」 自力で響かせた君が代「新鮮だった」
「フィギュアスケート・スケートアメリカ」(19日、アレン)
女子はショートプログラム(SP)4位の樋口新葉(23)=ノエビア=が、フリー1位の合計196・93点でGP初優勝を果たした。渡辺倫果(三和建装・法大)が2位。ペアは三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)が合計214・23点でGP通算4勝目(ファイナルを含む)を挙げた。男子SPは三浦佳生(オリエンタルバイオ・明大)が99・54点で2位につけ、世界王者のイリア・マリニン(米国)が99・69点で首位。GP計6戦の総合成績で6位までがファイナル(12月・フランス)に進出する。
苦節を経て、樋口が待望の瞬間を迎えた。2016年に初参戦したGPは9年目。過去13戦で2度の2位が最高だった。SP4位で臨んだフリーを冷静に滑り切ると、残る3人の得点が伸びない。23歳での初制覇に「えー?」と声を張り上げ「運が70%。練習を続けてきたご褒美かな」と喜色満面の笑みを浮かべた。
連続3回転を狙ったルッツ-トーループが3回転-2回転となり、3連続を予定したジャンプは単発に。それでも集中を保ち「最後まで全力」をテーマに滑り込んできた成果を実らせた。終盤に3連続ジャンプを跳んでリカバリーすると、スピン、ステップは全て最高難度を獲得。「成長を感じた」4分間だった。
ジュニア時代から天才少女として脚光を浴び、13歳で初出場した全日本選手権で3位に入った。GPデビュー戦も3位。しかし、全日本や主要国際大会の優勝には縁がなかった。22年北京冬季五輪後は右すねの疲労骨折もあって休養。復帰した昨季は全日本で自己最低12位と成績が振るわず、引退が頭をよぎった。
26年に五輪を控え、結果にこだわると決めた今シーズン。いつも「おこぼれ」で耳にしていた君が代を、初めて自力で響かせた。「新鮮だった。次のフランス大会では、もっといい点数を狙える」。意欲新たに円熟の舞を届ける。
◆樋口新葉(ひぐち・わかば)2001年1月2日、東京都出身。3歳でスケートを始め、15年と16年の世界ジュニア選手権で3位に入った。18年世界選手権は2位。全日本選手権では15、16、19、21年に2位だった。22年北京五輪では個人で5位、団体で銀メダルを獲得した。21世紀のはじまりから「新」という字を入れたのが名前の由来。152センチ。