競歩・川野将虎 世界記録で世陸代表入り 28キロ過ぎに先頭に立って完勝 来年9月本番で「100%出せるように」

 2時間21分47秒の世界記録で優勝した男子の川野将虎
 
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 「陸上・日本選手権35キロ競歩」(27日、高畠町)

 来年9月に東京で開かれる陸上の世界選手権の代表選考会を兼ねて行われ、男子は川野将虎(26)=旭化成=が2時間21分47秒の世界記録で制した。日本陸連が定める派遣設定記録(2時間26分0秒)を突破し、3大会連続の世界選手権代表に決まった。競歩の35キロは従来の50キロに代わり、世界選手権では22年大会から実施されるようになった種目。世界陸連は23年1月以降に公認大会で2時間22分0秒を切った場合に世界記録と認定するとしており、川野が初めてその壁を破った。

 世界選手権の切符に加え、男子35キロ競歩で世界最速の称号も手にした。川野は28キロ過ぎに先頭に立って完勝。「ここで代表を決められて本当に良かった。1年弱の準備期間はアドバンテージ。生かせるように準備する」と充実の表情だった。

 ハイペースで進む中、24キロ手前から丸尾との一騎打ち。勝負どころとにらんだ残り7キロで「ここを逃したらもう勝てない」と一気に速度を上げて前に出ると、終盤も大きく失速せず粘り抜いた。

 混合団体で出場したパリ五輪後は調子が上がらず、弱気になった。転機は、能登半島の記録的豪雨があった9月21日の一本の電話だ。東洋大時代から合宿先だった石川県輪島市の宿泊施設の経営者から、避難中に「競技ができることは当たり前ではないんだぞ」と叱咤(しった)された。その言葉に胸を打たれ「甘えがあった。力に変えてやっていかないと」とスイッチが入り、この1カ月の調整でいい状態に仕上げた。

 混合団体の短い距離で磨かれた速さに、持ち前の持久力が融合。26歳の実力者は初の世界の頂点へ「力を100%出せるようにしたい」と3度目の挑戦となる来年9月を見据えた。

 ◆川野将虎(かわの・まさとら)1998年10月23日生まれ。宮崎県日向市出身。静岡・御殿場南高で競歩を始めた。東洋大3年時の19年7月に20キロでユニバーシアード銀メダル、同10月に全日本50キロ競歩高畠大会で3時間36分45秒の日本記録を樹立。21年東京五輪は50キロで6位、24年パリ五輪は男女混合リレーで8位。世界選手権は22年オレゴン大会で35キロ2位、23年ブタペスト大会は35キロ3位。177センチ、60キロ。

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