阿部一二三&詩、負けた小学生の悔し涙に感銘「心打たれた」「全て終わるわけじゃない」「負けて強くなる」主催大会で300人が熱戦

 主催イベント「ABE CUP」に出席した阿部一二三(左から2人目)と詩(同4人目)。男子軽中量級を制したのは出身道場の後輩の浅田慶くん(中央)
 主催イベント「ABE CUP」で小学生の熱戦を見守った阿部一二三(左)と詩
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 柔道男子66キロ級で五輪2連覇の阿部一二三(27)、女子52キロ級で東京五輪金メダルの阿部詩(24)=ともにパーク24=の兄妹が主催する大会「ABE CUP2024」が10日、横浜武道館で開催された。全国から応募してきた小学6年生約300人が参加し、トーナメント形式で熱戦が繰り広げられた。見守った一二三は「(柔道少年たちの)なんとかして勝ちたいっていう姿を見て、すごく感動した。改めて勇気をもらって、(自分も)また頑張らないといけないなという気持ちになれた」と実感を込めた。

 このイベントは、2人が日本オリンピック委員会(JOC)のシンボルアスリートとして行っている社会活動の一環で、昨年6月には兵庫・姫路市で第1回を開催。自身らが「兵庫少年こだま会」で柔道を始めた小学生時代は体格差などでなかなか勝てなかった原体験や、過剰な勝利至上主義による小学生の無理な減量へのオルタナティブとして、2人の発案で、選手が事前に申告した体重により試合当日に階級が分けられるという独自の形式で実施された。

 白熱した試合が続き、見守っていた詩は「本当に勝ちたいという、真剣に取り組んでいるまなざしがすごくて、私もまた頑張ろうと思った」と刺激を受けた様子。また、試合で負けた選手が涙する光景にも感銘を受けたことを明かし、「試合中に泣いちゃった子とか、負けた後にすごく悔しがってる子に私はすごく心を打たれた。でも、負けても全てが終わるわけじゃないので、それを何かにつなげるのは自分次第。それを小学生のうちから学べるのはすごくいいこと。負けを生かすことも大切なんだなと、私自身も(小学生の)皆さんも、(この大会が)次に踏み出す一歩になってくれたらいい」と実感を込めた。

 一二三も、自身の小学生時代は女子選手に負けて泣いていたことが後の飛躍につながっただけに、「やっぱり強くなるためには絶対に負けを知らないといけないし、悔しい思いをしないといけないと思う。僕自身も小学生の頃は勝てなかったし、中、高、大、社会人と(どの年代でも)やっぱり負けて、(そのたびに)強くなったっていうのが阿部一二三だと思うので」と同調。「今日優勝した選手もそうだが、負けた選手も悔しい思いをして成長すると思う。レベルアップするためにこの負けをどう生かすかで、悔しい思いをした人も(この大会が)すごくプラスなんじゃないか」と語った。

 2人とも4年後のロサンゼルス五輪を目指す意向を示し、一二三は3連覇、詩は2回戦敗退に終わった今夏のパリ五輪の雪辱に挑む。現役生活と並行して「ABE CUP」も継続していくといい、一二三は「ABE CUPで優勝したいとか、皆さんの頑張る源になる大会にしていきたい。柔道の競技人口が減っている中で、柔道界をもっと盛り上げていきたい。小学生の頃にABE CUPで優勝して、(後に)世界選手権とか五輪で優勝しましたとか、みんなの(最初の)一歩になる大会になればいい。今後もたとえば海外でやったりしたいと考えている」と青写真を描いた。

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