「大相撲九州場所・７日目」（１６日、福岡国際センター）

　現役関取最年長の平幕玉鷲が、４０歳の誕生日を白星で飾った。翠富士を力強く押し倒して４勝目。昭和以降で６人目の４０代幕内力士となった“鉄人”は、三役復帰を目標に掲げた。大関豊昇龍と平幕阿武剋に土がついて全勝が消え、１敗を守った大関琴桜と隆の勝を含めた４人がトップに並んだ。

　ホッとしたような表情が思わず浮かんだ。ファンの期待に応える４０歳のバースデー星。勝ち名乗りを受ける玉鷲に、大きな拍手が降り注いだ。立ち合いで動いた翠富士に落ち着いて対応。突っ張りで起こしてから、右のど輪でひねり倒すように力強く勝負を決めた。

　館内には「誕生日おめでとう」という声が響き、祝福のボードも目に入った。「本当にありがたい。つくづく長くやってよかったなと思いますね」としみじみ。節目を飾ったことを「本当によかった。自分にお祝いですね」と喜んだ。

　初土俵から２０年。その頃に「もうとっくに辞めていると思っていた」という年齢になった感想は「もう４０かって感じ」。全力で過ごしてきたからこそ、時の流れは早く感じる。稽古場では３０代で大切さに気付いた基礎を繰り返す毎日。「支えてくれるみなさんが一番大事。自分のためより、人のための方が頑張らないといけないと思う」。家族や応援してくれる人への思いが原動力だ。

　昭和以降で４０代の幕内力士は６人目。年６場所制となった１９５８年以降では、旭天鵬に次いで２人目となる。不惑を迎えての目標は「三役に本当に戻りたい」と熱望した。一番うれしいほめ言葉は「２０代くらいの若々しい気持ちで相撲をとっているな」。衰えなどみじんも感じさせない“鉄人”は「変わらず自分の相撲をとって、見ているお客さんを喜ばせたい。まだ楽しんで上を目指したい」と意欲満々に宣言した。