卓球パリ五輪メダリストが8強で全滅の異常事態 年間王者決定戦“最後の砦”も世界1位に苦杯 勢力図変化や大会過多の影響も
「卓球・WTTファイナル」(22日、北九州市立総合体育館)
男子シングルス準々決勝が行われ、世界ランク10位でパリ五輪銀メダルのトルルス・モーレゴード(スウェーデン)は、同1位の王楚欽(中国)に1-3で破れ、4強入りは逃した。国際大会の年間成績上位16人が集まり、年間王者を決めるという触れ込みのWTTファイナルだが、8強でパリ五輪シングルス種目のメダリストが男女を通じて全滅となる異常事態となった。
個人戦の主要国際大会は今年最後となる今大会だが、今夏のパリ五輪で活躍した選手の苦難が目立つ。女子シングルスは休養中の金メダリスト陳夢(中国)を除き、いずれも休養明けだった銀メダルの孫穎莎(中国)、銅メダルの早田ひな(日本生命)とがいずれも初戦で敗退。また、男子シングルスでも、金メダルの樊振東(中国)は休養中で、銅メダルのフェリックス・ルブラン(フランス)は初戦敗退。最後の砦となったモーレゴードも準々決勝で姿を消した。
女子の張本美和(木下グループ)や大藤沙月(ミキハウス)といった新興勢力による勢力図の変化もさることながら、4年に一度の五輪にピークを合わせてきた選手にとっては、大会後のモチベーションやコンディション維持が難しく、夏以降も大きな大会が続いたハードスケジュールの影響も示唆される。早田はパリ五輪で痛めた左腕の故障で今大会まで実戦から遠ざかっており、孫穎莎は10月のアジア選手権団体戦で日本に敗れた後、コンディション不良を理由にシングルスを棄権し、休養していた。
一方、銀メダリストのモーレゴードを破った王楚欽は世界ランク1位の本領を発揮した。パリ五輪の大会中にラケットを報道陣に折られるアクシデントが発生し、予備用ラケットで臨んだ五輪シングルス2回戦でモーレゴードに敗れる波乱があったが、それ以来の再戦で雪辱に成功。「五輪の試合のことは全く考えていなくて、自分自身のパフォーマンスに集中した。準決勝に行けることはうれしいし、次もいい試合をしたい」と汗を拭った。