張本智和“自己最高試合”更新でV王手「目指していた卓球」世界2位中国選手に異次元プレー連発で逆転勝利「101点」「たまたま勝てた」
「卓球・WTTファイナル」(23日、北九州市立総合体育館)
男子シングルス準決勝が行われ、世界ランク7位でアジア選手権覇者の張本智和(21)=智和企画=が、同2位の林詩棟(19)=中国=を4-3で破り、決勝進出を決めた。劇的な逆転勝利の後は、初戦から3試合続けて歓喜のダンスを披露し、場内インタビューで「最高でーす!!」と絶叫した。
張本は鉄壁の防御と強打を織り交ぜ、世界トップ同士の異次元のプレーを連発して強豪との攻防を制した。2ゲームを連取された後に追いつき、3-3でフルゲームに突入。ゲーム間には会場を煽り、観客と一体となってボルテージを上げた。最終ゲームも一度はマッチポイントを握られる緊張感の高い展開となったが、集中力を切らさずに追いつくと、ホームの声援にも後押しされて12-10で逆転勝利を決めた。
中国次世代エースとの紙一重の攻防を制し「正直、どっちが勝ってもおかしくなかった。たまたま僕が勝っただけ」と感慨深げ。フィジカル、技術、メンタル、戦術の全ての引き出しを注ぎ込んで得た会心の勝利に、「最後はわけがわからない(くらいの攻防だった)が、これが自分が目指していた五輪の決勝だったり、世界卓球の決勝でやるべきことだと思う。本当に(ここまでハイレベルな試合は)初体験だったので、新鮮な戦いだった。(自己採点は)101点くらい」と、興奮冷めやらぬ様子で振り返った。
今夏のパリ五輪シングルス準々決勝で、金メダリストの樊振東(中国)をフルゲームまで追い詰めた一戦を過去最高としていたが、「(この試合は)五輪の樊振東戦よりもすごい試合だったと思う。こうやって更新されていくのかなって」と“自己ベストマッチ”に認定。「あれを超える試合はないと思っていたが、こうやってあった。体だけじゃなく頭も使い切って、同じプレーが1球もないくらいめまぐるしく1球ずつ攻防が変わっていったので。0・1秒とか、それくらいの差でギリギリ勝てた。勝っても負けても『たまたま』で終わるくらい、レベルの高い試合だった」と実感を込めた。
決勝は、世界ランク1位の王楚欽との頂上決戦に決まった。「明日は101点でも勝てないと思うので、120点くらい出して頑張りたい」。日本開催の世界一決定戦で、さらなる自己ベスト更新へ闘志を燃やした。