八村発言で三屋会長が見解 日本協会の不備認めた「溝を埋められるよう努力」選手とのコミュニケーション改善を
日本バスケットボール協会の三屋裕子会長(66)が30日、米NBAレーカーズの八村塁(26)が日本協会と男子日本代表のトム・ホーバス監督を批判している問題について、都内で初めて取材に応じた。29日に発表した声明文に続き、21分間にわたってトップとしての見解を表明。改善策として、日本協会として海外選手に一本化した連絡窓口を設置する考えを示し、「選手が安心してプレーできる環境をつくるのが責務。(選手との)コミュニケーションについて見直さないといけない」と語った。
騒動発生から17日、三屋会長が初めてこの件で質疑応答を行い、協会トップの考えを述べた。「選手が安心してプレーできる環境をつくるのがわれわれの仕事だが(騒動で)今ざわついている状態。われわれとしてコミュニケーションについて改善しないといけない」。協会の不備も認めた上でアスリート委員会の活性化や、海外選手専用の連絡窓口となる担当者を設置する改善策を示し「少しでも溝を埋められるよう努力する」と語った。
協会トップとして沈黙が続いた約2週間の苦悩も明かした。「私も(個人で)考えていたことはあるが、(今回は)不祥事でもコンプライアンス違反でもない。会長として、どういう立場で何を言うか、私自身珍しく悩んだ。(対応が)遅いと言われることは十分分かっていた。批判は甘んじて受ける」。
エースの言動が波紋を呼ぶ中、28日には日本代表の渡辺雄太(千葉J)が双方の仲裁にあたる考えを表明した。三屋会長は「八村選手が発言するのは彼の権利だし、渡辺選手が覚悟を持って発言してくれた。私ができることはここで組織としての考え方を伝え、彼らがバスケットに集中できる環境をつくること」と、渡辺の男気会見も協会を動かすきっかけの一つになったことを示唆した。
改めてホーバス監督の続投を明言し、28年ロサンゼルス五輪に向けて体制を整備する。「今回生まれた価値観の違いを埋めるのは簡単ではないが、少なくとも努力をしていく」。協会トップとして覚悟がにじんだ。