柔道 パリ銀の村尾三四郎、志願出場のGS東京で男気V 五輪代表で唯一「逃げずに向き合い続けた」「五輪で知った人に魅力を」
「柔道・グランドスラム・東京大会」(8日、東京体育館)
男子90キロ級が行われ、パリ五輪銀メダルの村尾三四郎(24)=JESグループ=が、決勝でルカ・マイスラゼ(ジョージア)に延長優勢勝ちし、2年連続2度目の制覇を果たした。国内唯一の国際ツアー大会で、今夏のパリ五輪日本代表としては14階級のうち3人が志願して出場したが、村尾は唯一優勝して存在感を発揮。「まずは(志願して)出場して勝ち切れたことと、五輪が終わってから柔道と自分から逃げずに向き合い続けた自分を評価したい。(ロス五輪に向けて)またいいスタートを切った」と胸を張った。
パリ五輪では決勝まで進んだものの、決勝でベカウリ(ジョージア)との大接戦の末、終盤に技ありを奪われて惜敗を喫した。夢舞台の余韻に浸ることなく、8月中には練習を再開したといい、今大会に出場を志願。直前には「(五輪で)金メダルなら出ていないんじゃないかと思うが、銀メダルだったからこそ、早く戦いの場に戻りたい気持ちがあった」と語っていた。
休養を取らず“男気出場”を決めた理由として、「五輪で初めて柔道を知った人や、初めて生で柔道を見てみたいって思った人もたくさんいたと思うので、五輪の当事者である自分が出て、柔道の魅力や価値を一つでも何か感じ取ってもらえたらと思っていた」と説明。「(五輪などの)大きな大会が終わると怠りがちな地道な作業をしっかりやれた。五輪が終わってから初めての試合だったので、なかなか気持ちが乗らなかったが、一つ成長できた部分と捉えている」と自負を込めた。
28年ロス五輪で雪辱の金メダルを見据える中、今回の準決勝では今年の世界選手権覇者の田嶋剛希(27)=パーク24=も撃破した。今後も代表争いの強力なライバルとなる一人だが、気高き銀メダリストは「僕としては勝ち切りたかった相手の一人だったので、丁寧に我慢強く戦えた」と実感を込めた。