北の富士さん 生前に面会を拒否していた 相棒の舞の海さんが明かす「何度かお願いしたんですが誰とも会わないと」「美学を持っていた」

 大相撲の元横綱で解説者の北の富士勝昭さん(本名竹沢勝昭さん)が11月12日に82歳で死去したことを受け、「北の富士さんをしのぶ会」が18日、東京都墨田区の八角部屋で開かれた。

 NHKの相撲中継で相棒として解説を続けてきた舞の海秀平さんも参列。時折、目を潤ませながら「本当にお世話になりっぱなしで、今までありがとうございました、ということですね」と感謝した。

 相撲中継ではふたりのかけ合いがファンの間で人気だった。舞の海さんにとって北の富士さんは大先輩で雲の上の存在とも言えたが、「(感謝の思いの)一番は、北の富士さんのおかげで萎縮せず解説できたことですね。大きな器がなかったら、私も伸び伸びできなかった」と振り返った。

 プライベートでは飲みに行くこともあり、二人きりで1回だけ飲んだこともあるという。「俺とお前は仲良くしちゃダメなんだ、という言葉が嬉しかったですね」と、自身を認めてくれた思い出のやり取りに触れた。

 北の富士さんがNHKの解説を務めたのは昨年1月が最後。闘病生活に入って以来、会うことができなかったという。お見舞いに行く事も許されず、「何度かお願いしたんですが、誰とも会わないということだったので…。無理やり行こうかとも思ったんですけどね。どうしても顔を見たかったんですけど。北の富士さんは美学を持っていたので、カッコ悪い、そういうところは見せたくない強い人なので、その気持ちを尊重したほうがいいのかと葛藤しました」と振り返った。

 今年7月の名古屋場所でNHKにVTR出演した際も、舞の海さんは会えなかった。「ここまで話せるようになったんだ、と。もう少し頑張れば一緒にできるなと思ったんですけどね。本当に張り合いがなくなりましたね」と落胆した。

 北の富士さんについて「解説を生かしてくれた恩人」と表現。舞の海さんへの気遣いも感じられたとし、「一緒に解説していて私と同じ意見なのに、あえて反対のことを自分が悪役になって、私をたてると言いますか、いい人にしたてあげてくれているなあと思うことが何度もありました。『俺が放送中に何か言うと、舞の海をいじめるなと言われる』らしいんですよね(笑)。『自分も同じこと言われます』と言うと『そうか』と。いじめているんではなく、たててくれているんですよね」と、うなずいた。

 「がっかりですね…」とため息まじりに繰り返したが、最後は自らに言い聞かせるように「これまでの相撲に対する考え方、北の富士さんの思いは生き続けると思うので、もう一度、思い出しながら解説していけたらと思います」と必死に顔を上げた。

 参列者は関係者が350人、一般が1600人強で約2000人が別れを惜しんだ。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス