鍵山優真 初Vで史上2組目父子制覇 世界選手権代表決定「父が金メダルを取った個数を超えたい」

 熱演する鍵山優真(撮影・北村雅宏)
 演技を終え、リンクに寝転ぶ鍵山優真(撮影・北村雅宏)
 表彰式で笑顔を見せる(左から)2位の中田璃士、初優勝の鍵山優真、3位の壷井達也
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 「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、東和薬品ラクタブドーム)

 男子は21歳の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)がSPに続いてフリーも1位の合計297・73点で初優勝した。1993年に3連覇した正和コーチとの父子制覇で、昨季2位の世界選手権(来年3月・米ボストン)代表に決まった。ジュニアで16歳の中田璃士(TOKIOインカラミ)が2位で、3位の壷井達也(シスメックス)とともに初の表彰台に立った。今季限りで引退する37歳の織田信成(大阪スケート俱楽部)は4位。ペアSPは三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)が74・16点で、アイスダンスのリズムダンスは吉田唄菜、森田真沙也組(木下アカデミー)が71・84点でそれぞれトップに立った。

 フィニッシュポーズを決めた鍵山は、大の字で銀盤にごろんと寝転んで歓声を浴びた。前回王者・宇野さんがかつて披露した、憧れのポーズのオマージュ。達成感を示すように両手をぱんと合わせて起き上がった先に見えたのは、新王者としての景色だった。「今日は闘争心を燃やそうと思った。やるべきことは全て出し切れた」と極上の喜びに浸った。

 圧巻の演技だった。冒頭の4回転フリップは4・71点もの加点がつく出来栄え。4回転サルコー、4回転-3回転の連続トーループも降りた。後半にミスは出たが、最小限に抑えた。2位に30点以上の差をつけて圧勝。かつて全日本を3連覇した父・正和コーチもガッツポーズで喜び、号泣して祝福した。

 「おめでとう!」-。いつも冷静な父が、それしか言えずに泣きじゃくる姿に心が震えた。「久しぶりに感動して泣き出していて、うれしかった」。父も「これだけは絶対に取ってほしかった。やっと世界を狙っていけるのかな」と祝福した。

 壁を乗り越えた。11月末のGPフィンランド大会では、フリーで自己ベストを大きく下回って号泣した。演技後、父は10分ほど「一方的に」ミスを引きずる繊細さを指摘し、反省を促した。言われっ放しだったのは「本当に返す言葉がなくてその通りだった」からだ。

 全日本では2023年までの12大会で羽生結弦さんと宇野昌磨さんが優勝を分け合った。新王者を狙う選手が次々と緊張感にのまれたが、その“魔物”にも打ち勝ち、ミスを広げなかった。

 世界切符も手にした新王者は「(自分に)勝てました!」と晴れやかだった。「金メダルは次につながる、いいスタート。父が金メダルを取った個数を超えたい」。親子の物語が紡ぐ新たな時代は始まったばかりだ。

 ◇鍵山優真(かぎやま・ゆうま)2003年5月5日、横浜市出身。1992年アルベールビル、94年リレハンメル両五輪に出場した父正和さんの下で5歳から競技を始めた。2000年ユース五輪金メダル、22年北京五輪は個人と団体でともに銀メダル。世界選手権は21、22、24年銀メダル。22年四大陸選手権優勝。昨季から14年ソチ五輪銅メダルのカロリナ・コストナー氏(イタリア)がコーチ陣に入った。身長161センチ。

 ◆男子の親子による全日本選手権制覇 鍵山の父でコーチを務める正和さんが1991年から93年まで3連覇しており、鍵山の初優勝で男子史上2組目の親子制覇となった。1組目は2010年に優勝した小塚崇彦さんと、68年に3連覇した父・嗣彦さん。

 ◆フィギュアスケートの世界選手権代表選考 男子は3枠で全日本優勝者の鍵山が自動的に代表決定。2位に入った16歳の中田は年齢制限で対象外。2人目は全日本の3位(壷井)やGPファイナル上位2人(鍵山と佐藤駿)、全日本終了時で国際スケート連盟公認のシーズン最高得点の上位3人(鍵山、佐藤、三浦佳生)から選考。「上位」と定めた項目は、代表入りした選手を除外して繰り上げる。3人目は世界ランキングなども加味して選出する。

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