駅伝でも強い!久保凛 16人抜き区間賞獲得で6位入賞へ導いた 中間点では日本人最高に5秒と迫る「来年はもっと高い順位を」
「全国高校駅伝」(22日、たけびしスタジアム京都発着、女子=5区間)
女子の2区(4・0975キロ)で800メートルの日本記録保持者、東大阪大敬愛の久保凛(2年)が21位から5位に押し上げる16人抜きを演じ、12分47秒で区間賞を獲得した。2年連続2回目の出場だったチームは1時間8分42秒で6位に入賞した。長野東が1時間7分27秒で2年ぶり2回目の優勝。男子は佐久長聖(長野)が2時間1分33秒で2年連続4回目の頂点に立った。
師走の都大路に、歴史に残るステップを刻んでいった。抜きも抜いたり16人。そして、21位から5位に引き上げた先に待っていたのは区間賞。日本女子陸上界の逸材が、トラックのみならず、ロードでも『久保凛』の名をとどろかせた。
「前を追うだけだった。1人でも多く抜かす気持ちだったし、最後まで粘る走りができて良かった」。最初の1キロを3分6秒で駆け上がる爆走で、1・3キロ付近で5人を抜いていた。中間点では、2006年に2区で20人抜きをした小林祐梨子(須磨学園)の日本人最高記録に5秒と迫った。
目標はあくまで2019年にテレシア・ムッソーニ(世羅)が樹立した12分15秒の区間記録の更新。1・4キロで1人、1・5キロでまた1人…。大会直前に体調を崩し、欠場に見舞われた前回大会の悔しさも背負い、ムチを入れた。区間新に32秒、日本人最高には12秒届かなかったものの「沿道から『久保さん、頑張れ』『敬愛、頑張れ』って、数え切れないぐらい言ってもらった。幸せだった」と余韻に浸った。
短期間で距離への対策も練っていた。オフだった19日、都内で日本陸連の年間表彰式に出席し「新人賞」を受賞。20日に合流し、試走では最短距離を走ることを心がけた。トラックと違って景色が変わっていく分、建物で距離を確認していった。「最後は気合。距離への不安もなかった」。4キロを超えても、16歳は強かった。
ごぼう抜きに触発されたかのように、東大阪大敬愛は初出場だった昨年の35位からジャンプアップした。「チームでたすきをつなぐし、一緒につなぐ仲間がいるからこそ頑張れるのが、駅伝のとてもいいところ。とても楽しかった」。目標の5位にあと一歩と迫る6位入賞に胸を張った。
「持久力的な部分でも今後の800メートルに生かしていける。そして入賞できたからこそ、来年はもっと高い順位を目指せる」。東京世界選手権が開催される来年は3年生。1年後も迎えるであろう都大路では、“久保建英のいとこ”“800メートル日本記録保持者”の肩書に、もう一つ何かが加わっているかもしれない。
◆久保 凛(くぼ・りん)2008年1月20日、和歌山県串本町出身。小学5、6年のときに県内の大会で記録を出したことをきっかけに、中学1年で本格的に陸上を始めた。父・健次郎さんの兄の子供がサッカー日本代表MF久保建英(レアル・ソシエダード)。小学1年から6年までサッカーをし、ポジションは右サイドハーフ。6年時に串本ジュニアFCとして近畿大会に出場した。陸上800メートルでは今年6月に新潟で行われた日本選手権優勝。7月に奈良で行われた記録会で1分59秒93の日本新記録を樹立した。東大阪大敬愛高2年。167センチ。