青学大 大会新で連覇 笑顔で会えた!喜びあえた!“あいたいね大作戦”大成功に原監督「言うことない」

 ゴールするアンカーの小河原(手前)を笑顔で迎える青学大・原監督(中央右)と選手たち(代表撮影)
 胴上げされる原監督(代表撮影)
 ゴール直前に笑顔でポーズを決める小河原(撮影・伊藤笙子)
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 「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町)

 往路首位の青学大が、10時間41分19秒の大会新記録で2年連続8度目の総合優勝を果たした。優勝回数は駒大に並び、史上6位タイとなった。6区の野村昭夢(4年)が区間新記録の快走。8区の塩出翔太(3年)も区間賞を獲得するなど、往路4位から追い上げた駒大を振り切った。原晋監督(57)が掲げた『あいたいね大作戦』は、大会新記録&2連覇という最高の形で完結した。

 この景色にあいたかった。両ほおに人さし指を当てるチャーミングなポーズでゴールに飛び込んだ小河原陽琉(1年)を、チームは歓喜の輪で包んで胴上げした。青学大8度目の優勝を記念して、原監督は8度宙を舞った。初めてフィニッシュエリアに入った寮母を務める妻・美穂さんも照れながら胴上げされた。

 「奥さんと比較して私はまだ太い。(胴上げ終盤は)そろそろやめようという雰囲気が出ていた」と得意のジョークを飛ばした指揮官は、しみじみと言った。「最高でしたよ。これほど幸せなことはない」。掲げた『あいたいね大作戦』は「(笑顔で)あえましたし、300%でしょ!往路、復路、総合優勝で言うことない」と完全成功を宣言した。

 少しヒヤリとしながらも、後続に逆転のすきは与えなかった。6区・野村が衝撃の区間新。復路の『ピクニックラン』がちらついたが、7区で駒大の佐藤圭汰(3年)に猛追された。「最後まで胃がキリキリした」と指揮官。ただ、8区・塩出、10区・小河原が区間賞と全員でつないだ。「よく耐えてくれました」と圧巻の内容をねぎらった。

 15年の初優勝から11年間で8度優勝。今年も原メソッドがぴたりとはまった。「箱根駅伝は山上り、下りを持っていれば優勝だけでなくシードでも優位になる。タイム差が一番広がりやすいし、そこを攻略しなければ昨今の箱根駅伝は勝てない」。5区の若林宏樹(4年)、6区の野村はともに区間新。山のスペシャリストを育て上げたことも、8度目優勝に大きくつながった。

 箱根路に愛を注ぎ続ける名将も3月で58歳。「近い将来バトンタッチがきます。普通は定年よ。だから上手にね、上手に引き継ぎもしつつ、強化もしつつの時期にきている」と引き際も考え始めている。昨年9月に選手寮がリフォームされ、新しい食堂にはOBのシェフを呼んだ。原夫婦がいなくても回るチームを少しずつ築いている。

 「いろんなことを犠牲にして、夫婦でこの箱根駅伝を人生かけて戦っている」-。フレッシュグリーンを一番に背負う立場は、あと少しかもしれない。だからこそ、1年1年に込める力も強まる。「来年は2度目の(大学三大駅伝)3冠と(箱根駅伝)3連覇をしたい」。大学駅伝界の夢を再びかなえ、陸上界に衝撃を与え続ける。

 ◇原 晋(はら・すすむ)1967年3月8日、広島県三原市出身。世羅高から中京大に進学し、中国電力に入社。サラリーマン時代は省エネ空調機の売り上げで実績を重ねる「伝説の営業マン」だった。2004年に青学大の監督に就任。箱根駅伝は09年に33年ぶりの出場に導き、15年の初優勝から4連覇を含む8度のVに導いた。現在は青学大陸上部長距離ブロック監督、同大学の地球社会共生学部教授など多方面で活躍。2014年度にデイリースポーツ制定「ホワイトベア・スポーツ賞」を受賞した。

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