青学大 原晋監督「大学の指導者はみんな真剣」明かした箱根駅伝監督の現状「5年でクビに」「厳しい契約関係の中で」
今年の箱根駅伝は青学大の連覇で幕を閉じた。大会新記録となる10時間41分20秒をマークするなど、箱根のレベルは年々上がっている。2区では一気に区間新記録が3人も出るなど、レベルアップが顕著だ。
その一因と考えられるのが“監督力”だろう。閉会式後、原監督は陸上界に警鐘を鳴らした中で「大学の指導者はみんな真剣。大八木さんも前田くんも酒井くんも、僭越ながら私も真剣にやってる。逃げられない。結果出さないとそれこそひどいことになる」と大学陸上界の指導者の現状を明かしていた。
結果を求められる状況で大学と指導者契約を結ぶ。言わば“プロ指導者”とも言える。「大学は5年でクビになりますからね。厳しい契約関係の中で一生懸命やって。朝は5時から起きて、遅くまで指導して。夏合宿も帯同して」と原監督。全員が情熱を持って指導しているからこそ、年々、レベルは上がっているという。
「だから生徒が卒業しても心が通じて卒業しても一緒にやろうとなる」と指導者としての熱量が教え子にも伝わるからこそ、卒業後も大学の恩師のもとを訪れて練習するケースもある。「学生界のレベルアップは素晴らしいものがある」と原監督。その上で「昔の中村清さん、小出先生、藤田さん、本当に日本長距離界で金メダルを取らす、自分が取らすという熱量の高い指導者が実業団はゼロ。サラリーマン指導者になっている。実業団の指導者が。それだけ自分が思いを持って指導に当たっていない」と警鐘を鳴らした。
確かに箱根駅伝終了後、各大学監督が発した言葉は理路整然としており、課題、反省点、青学大を超えて箱根で勝つためにはどうすればいいか-。自分の言葉で語る姿が印象的だった。国学院大・前田監督は「山との向き合い方が浅はかだった。私自身を変えないと、このチームの練習は変わらない。それが得たもの」と語り、「箱根駅伝は深みがあって。私自身も勉強不足で力不足。本気で優勝を目指して戦った。次の102回大会をしっかり、1日も無駄にせず箱根を勝ちきるチームへ頑張りたいと思います」と来年を見据えた。
駒大・藤田監督は「もうちょっと選手層を厚くしないと青学さんには勝てない。横綱のレースをされた。ポイントとなる区間で確実に走ってくる」と語り、4位の早大・花田監督は「守りに入らないというか。実力で優勝をもぎ取る、3位以内をもぎ取る。自信を持って走れる力をつけないといけない」と言う。
監督同士が切磋琢磨し、チームを強化する。原監督が「各大学のメソッドの争い」と表現したように、指導者が謙虚に学ぶ姿勢を持ち、レベルアップを図っていく。そんなドラマも箱根が盛り上がる大きな要因と言えそうだ。