岡慎之助 体操ニッポンの新スターがホワイトベア・スポーツ賞受賞 大ケガ乗り越えつかんだ栄光

 個人総合で金メダル獲得が決まり橋本大輝(右)と抱き合って喜ぶ岡慎之助
 金メダルを獲得した体操日本代表の(左から)橋本大輝、岡慎之助、谷川航、萱和磨、杉野正尭
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 デイリースポーツ制定「ホワイトベア・スポーツ賞」の2024年度受賞者が決定した。パリ五輪の体操男子団体総合、個人総合、種目別鉄棒金メダリストで、種目別平行棒銅メダルの岡慎之助(21)=徳洲会=と、同レスリング女子53キロ級金メダルの藤波朱理(21)=日体大=を選出した。日本中に夢と感動を与えた2人の選考理由を紹介する。

 パリ五輪イヤーに急成長を遂げた21歳だ。岡は24年5月にNHK杯で初優勝すると、パリ五輪では団体総合における奇跡の大逆転Vを支えた。最終種目の鉄棒を残して、ライバル・中国と絶望的な大差がつくも、相手が“五輪の魔物”にのまれる中で演技をまとめた。個人総合、種目別鉄棒も堅実な演技で金メダルに輝くと、種目別平行棒でも銅メダルを獲得。一躍ニューヒーローとなった。

 保育園の先生に鉄棒の逆上がりを褒められたことをきっかけに、4歳で体操を始めた。おかやまジュニア体操スクールでは日々1時間の倒立を行い、それはじゅうたんに汗の跡が残るほど厳しい内容だった。

 基礎を磨き、中学卒業後は実業団・徳洲会の門をたたいた。高校1年時の2019年に世界ジュニア選手権を制覇するなど期待の存在だったが、試練は訪れた。22年全日本個人総合選手権で予選を3位で通過しながら、決勝の演技で右膝前十字靱帯を完全断裂し、全治8カ月の大けがを負った。

 リハビリは壮絶だった。最初は足を動かすことすら難しかったが「パリオリンピックに絶対に出る」と腐らずに突き進んだ。そして、24年NHK杯で五輪切符を獲得。シニア初の代表の座を射止め、五輪期間でさえも成長し続けた。

 名前の『慎之助』は、父・泰正さん(45)が巨人の阿部慎之助・現監督のファンだったことから「スーパースターになってほしい」との願いを込めてつけられた。一躍世界のスターとなったが、歩みは止めていない。目標は28年ロサンゼルス五輪で、パリでメダルを獲得した種目の4冠と、団体総合と個人総合での五輪3連覇。新スターは王者の道を走り続けていく。

 ◇岡慎之助(おか・しんのすけ)2003年10月31日、岡山県出身。4歳で体操を始め、おかやまジュニア体操スクールを経て、中学卒業後は実業団・徳洲会入り。19年世界ジュニア選手権では団体、個人総合の2冠に。24年NHK杯で初V。パリ五輪の団体総合、個人総合、種目別鉄棒で金メダル、種目別平行棒で銅メダルを獲得。ポテンシャル高い体操は『フェラーリ』に例えられるが、五輪後に購入したのは『ベンツ・GLC』だった。155センチ、54キロ。

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