豊昇龍 55年ぶりの横綱ダブル昇進へ鬼門の初日突破「相手を見ながら落ち着いて取ろうと思った」

 「大相撲初場所・初日」(12日、両国国技館)

 1970年春場所の北の富士、玉の海以来、55年ぶりの横綱ダブル昇進へ白星発進だ。初の綱とりに挑む琴桜(27)=佐渡ケ嶽、豊昇龍(25)=立浪=の両大関は、それぞれ隆の勝(常盤山)、霧島(音羽山)をともに寄り切った。3場所ぶり出場の横綱照ノ富士(伊勢ケ浜)は小結若隆景(荒汐)の肩透かしに屈し、大関大の里(二所ノ関)は翔猿(追手風)に引き落とされた。先場所10勝で大関昇進の足固めを狙う関脇若元春(荒汐)は、熱海富士(伊勢ケ浜)を寄り切った。

 豊昇龍が鬼門を突破した。先場所までの大関8場所で4勝4敗だった初日で、ほぼ五分の対戦成績だった霧島を退けた。

 立ち合いで右四つの形をつくり、上手で振って崩して寄り切った。「相手を見ながら落ち着いて取ろうと思った」と冷静に振り返った。

 昨年秋場所で8勝7敗と低迷。それを機に得意の投げを控え、突き押しを磨いた。連日500回のてっぽうを課し、相撲が変わった。

 師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「四股500回、てっぽう1000回やらないと、力士として認めてもらえない」と伝えた。これは、親方が部屋を継承してほどなく、幕内優勝32回を誇る大横綱の大鵬さんと会食する機会で授かったのだという。

 不本意な時期の金言を受け止め、覚醒の時を迎えつつある。親方が「性格は素直ですよ。顔はおじさん(元横綱朝青龍)に似ていて、SNSでよく皮肉を書かれるんだけど」と話す通り、そのひた向きな姿に、国技館での声援は増えた。

 “大鵬魂”とともに綱とりに挑む。ライバルの琴桜を「意識しない。相撲は個人。自分だけを考える」と話す姿は力強かった。

 ◆八角理事長(元横綱北勝海)「照ノ富士は立ち合いでバランスを崩した。本人はやれることをやってきただろう。琴桜は勝つことが大事。初日、2日目と流れが出てくる。豊昇龍は前に出ようとしている。出し投げが良かった」

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