レスリング・藤波朱理 ロスで2連覇へ「最高の景色を見てみたい」 公式戦139連勝中も飽くなき向上心

 抱負を書いた色紙を手にする藤波朱理(撮影・西岡正)
 デイリースポーツ・藤谷稔社長(左)と白熊のぬいぐるみを手にする藤波朱理(撮影・園田高夫)
 デイリースポーツ・藤谷稔社長(中)に祝福される岡慎之助(左)と藤波朱理
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 デイリースポーツ制定「2024年度ホワイトベア・スポーツ賞」の表彰式が31日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで行われた。パリ五輪の体操男子で団体総合、個人総合、種目別鉄棒の3冠を達成し、平行棒で銅メダルを獲得した岡慎之助(徳洲会)と、同五輪のレスリング女子53キロ級金メダルの藤波朱理(日体大)が受賞。2003年生まれの共通点を持つ21歳の2人が喜びを語り、連覇のかかる2028年ロサンゼルス五輪へ向けて気持ちを新たにした。表彰式では、藤谷稔デイリースポーツ代表取締役社長から表彰盾、奨励金、白熊のぬいぐるみが手渡された。

 藤波の顔が思わず緩んだ。ホワイトベア・スポーツ賞を受賞し、副賞でかわいらしい白熊のぬいぐるみもゲットした。気に入ったのか、自ら携帯を取り出し、同い年の岡とぬいぐるみ2個と笑顔で記念撮影。スピーチでは「パリ五輪で、小さいときから目標にしていた金メダルを獲得することができた。やってきたことが評価されることはうれしいし、次に向けての活力になる」と喜んだ。

 スポーツ界で多大な功績を残した選手に贈られる同賞。ホワイトベアの名称は、陸・水の王者とされる白熊にあやかって付けられている。藤波も五輪を制し、公式戦は中学2年から負けなしの139連勝中。白熊に劣らない成績を残している。

 実際は戦えない相手でも、イメージをふくらませてしまうのが、対人競技の職業病。白熊と対戦するとしたら?と問われると「暑いところに呼んで一回ひるませる。マットで暖房をたいて、そこで戦うのが作戦です」と、ユーモアたっぷりに応え、報道陣を笑わせた。

 4歳から競技を始め、セコンドの父・俊一コーチと二人三脚で世界の頂点を目指してきた。夢をかなえたパリ五輪後は、メディアに引っ張りだこ。芸能界を含め、柔道、フェンシングなど他競技との交流は格段に増え、「競技を楽しんでいる人たちは1番強い」と、トップアスリートの共通点も発見。2024年は充実の1年を過ごした。

 今後は57キロ級に階級を上げてロサンゼルス五輪での2連覇を見据える。直近では2026年に“準地元”の愛知県と名古屋市で共催されるアジア大会の頂点が目標だ。

 「五輪を通して自分はまだまだ強くなれるし、もっと最高の景色を見てみたいと思った。(アジア大会で)地元の人に見てもらって優勝したい思いは、五輪と同じくらいある」。最後に「ホワイトベア・スポーツ賞をきっかけに(白熊の動きも)参考にしてみたい」と飽くなき向上心をのぞかせたヒロインが、この先もレスリング史に名を刻み続ける。

 ◆藤波朱理(ふじなみ・あかり)2003年11月11日、三重県四日市市出身。指導者の父・俊一さんや兄の影響で4歳からレスリングを始めた。三重・いなべ総合学園高から日体大に進学。中学2年時の17年9月から公式戦無敗を続けており、現在は139連勝中。世界選手権は21、23年大会で優勝。パリ五輪では金メダルを獲得した。家族は両親と、兄は17年世界選手権銅メダルの勇飛。趣味はおいしいものを食べること。164センチ。

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