羽生、SPトップ発進もミスに苦笑い
「フィギュア四大陸選手権第1日」(8日、大阪市中央体育館)
男子SPを行い、全日本選手権覇者の羽生結弦(18)=宮城・東北高=が87・65点でトップに立った。GPファイナル王者の高橋大輔(26)=関大大学院=は82・62点で4位、無良崇人(21)=中京大=は78・03点で8位と出遅れた。女子の浅田真央(22)=中京大、村上佳菜子(18)=愛知・中京大中京高、鈴木明子(27)=邦和スポーツランド=は9日のSPに備え、公式練習で最終調整した。
演技を終えた羽生は舌をペロッと出し、思わず苦笑いを浮かべた。
「あ~もうって感じでした。本当はガッツポーズできる演技だったんですけど…」
4回転トーループ、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を完ぺきに決め、勢いに乗ったが、最後の連続3回転ジャンプのルッツが1回転になる痛恨のミス。演技自体はロックテイストの曲をノリノリで滑りきった。表現力を示す5項目の構成点でも、初めて第一人者の高橋を上回った。
飽くなき向上心が、18歳の驚異的な進化の源だ。年末年始は地元仙台で過ごした。家族や親せきとともに、テレビゲームに熱中し、負けず嫌いな一面を発揮した。「やりすぎて手が痛くなった」と苦笑い。年明けからのアイスショーの内容が悪いと、すぐに拠点のあるカナダに戻り、練習に没頭した。昨年までまだ精度の低かった4回転サルコウの習得に励んだ。
同門のライバルの活躍もハートに火をつけた。1月末に行われた欧州選手権で、同じくブライアン・オーサーコーチに師事するフェルナンデス(スペイン)がSP、フリー合わせて計4本の4回転ジャンプに成功。フリーで世界歴代2位、トータルでも世界歴代3位のハイスコアを記録した。「クラブメートとして誇りに思う。自分も“魅せないと”と思っている」。不完全燃焼に終わったSP。このままでは終われない。
フリーでは4回転サルコウを含め、2本の4回転ジャンプを跳ぶ。「フリーは最後まで集中して、練習の成果を見せたい」。思い描く完ぺきな演技を、今度こそリンクで完遂させる。