満身創痍の羽生4位 五輪枠3を死守!
「フィギュアスケート世界選手権・第3日」(15日、カナダ・ロンドン)
18歳の気合が日本を救った。男子フリーは左膝痛を抱え、SP9位と出遅れた羽生結弦(18)=宮城・東北高=が169・05点、合計244・99点で4位。SP4位の高橋大輔(27)=関大大学院=は154・36点、合計239・03点で6位と順位を落としたが、上位2人の順位合計で「13」以内を死守し、ソチ五輪出場枠は最大の3を確保した。無良崇人(22)=中京大=は160・72点、合計234・18で8位。SP首位のパトリック・チャン(22)=カナダ=が合計267・78点で優勝し、3連覇を達成した。
最後のポーズを決めて雄たけびを上げた。そのまま膝から崩れ落ちるようにリンクに突っ伏した。5秒、6秒…。すべてを使い果たした18歳はもう動けなかった。満身創痍(そうい)の羽生が精神力で五輪3枠を引き寄せた。
この1カ月間、インフルエンザと左膝痛でほとんど練習できなかった。「体力面だと20%」。SPは9位に沈み、五輪の3枠確保は崖っぷち。この日朝の公式練習では右足首も負傷した。足の感覚を優先するため、痛み止めの量を減らして臨んだフリー。痛み、重圧、不安の三重苦との戦いだった。
「1年間練習してきた自分の力を信じなさい」。ブライアンコーチの言葉を背に飛び出したリンク。冒頭の4回転トーループを決めた。続く4回転サルコウは回転不足となりながらも着氷。ジャンプの軸がどれだけぶれても氷に立つ。まさに魂の滑りだった。
大和魂で日本を救った羽生は言った。
「一からやり直して、基礎体力もつけてベストなコンディション、体調で挑めるようにしていきたい」
来年のソチ五輪へ。新星がエースに脱皮する。