美姫激白「世のお母さんを応援したい」

 福岡から新たな一歩を踏み出す‐。フィギュアスケートの元世界選手権女王でソチ五輪シーズンに復帰する安藤美姫(25)=新横浜プリンスク=が6、7日に福岡市のマリンメッセ福岡で開催されるアイスショー「ファンタジー・オン・アイス2013」に登場。4月に長女を出産したことを告白して以来、初めての演技に臨む。5日には同会場で行われたリハーサルに参加。デイリースポーツと協力関係にある西日本スポーツの単独インタビューに応じ、復帰までの道のりや、母への感謝の気持ちを語った。

 決意の告白後、初めての舞台で表現するのは母への感謝だ。福岡で披露する3つのプログラムのうち1曲は、鹿児島育ちのシンガー・ソングライターで今回のショーのスペシャルゲストアーティストでもあるAIが歌う「ママへ」。自らを産んでくれた母への愛を込めたバラードだ。

 「聞いていて何とも言えない気持ちになった。母がいなければ、この世に生まれていない。歌やスポーツを見て勇気や感動をもらえることもないし、出会いもない。私の命を授けてくれたのは母と父。日ごろ忘れがちなことだし、面と向かって言えない感謝の気持ちをスケートで表現したい」

 自身も4月に女児の母となった。「出産は本当に大変なこと。世の中の子育てをしながら、家事や仕事をするお母さんを応援したい気持ちもある」‐。

 出産から1カ月後に練習を再開。ジャンプ練習で筋力の低下を感じ、休養前は「大嫌いで、やったことがなかった」という筋力トレーニングにも取り組んでいる。「筋力を戻して氷の上に乗ると違いが分かるので、文句を言いながらもやってます」。笑顔に充実感が漂う。

 2011年の世界選手権で2度目の頂点に立つと、11~12年シーズンは主要大会を欠場。「本当は引退したかった。休む直前はすごく息苦しかったし」。14歳で女子初の4回転に成功し、18歳でトリノ五輪に出場。10代から常に注目を浴びる中で戦い続け、疲れを感じていたという。

 安藤の心を癒やす存在があった。東日本大震災の被災地を何度か慰問した際に触れ合った子どもたちだ。「心が穏やかになるのを感じた。『頑張って』という言葉も、それまではストレスに感じることもあったのに、心に染みてくるような新鮮な感覚でした」

 ファンも安藤を後押しした。順位に関係なく競技者として戦う姿を見たい、という多くの声に突き動かされた。「私がありがとうというメッセージを伝えられるのは、もしかしたら試合なのかなと思って」。ソチ五輪シーズンでの現役復帰を決意した。

 リハーサルでは笑みを絶やさず、幸福感いっぱいのオーラを振りまいた。「6月からショーを再開し、今回福岡の皆さんにも2年ぶりにお会いできる機会をいただいてうれしいです。2年離れていたことを感じさせない滑りを見せたい」。輝きを増した安藤が、競技者として新たな一歩を踏み出す。

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