美姫、クリアも「恥ずかしい演技」
「フィギュア・ネーベルホルン杯」(27日、オーベルストドルフ)
女子のフリーが行われ、4月に女児を出産した安藤美姫(25)=新横浜プリンスク=は合計162・86点で2位に終わった。フリーは103・07点で4位にとどまったが、目標としてた五輪出場への最低技術点をSP、フリーともクリア。3季ぶりの復帰戦で目標のソチ五輪への第一歩を踏み出した。
逆境からはい上がる自らを重ねたかのようなフリー「火の鳥」の4分間の演技を終え、安藤の表情にまず浮かんだのは疲労感だった。大きく息をつきながら何とか歓声に応えたが、笑顔はない。「恥ずかしい演技だった」。前日のSPに続き、五輪出場への最低条件だった最低技術点をフリーでもクリア。ソチへの第一関門はきっちり突破した。ただ、同時にこの先の道のりの厳しさを痛感した復帰戦にもなった。
出産から半年での実戦。SPより1分以上長いフリーでは「体力が持たないことは分かっていた」。ジャンプでは3回転を予定したサルコーが2回転になった以外、大きなミスはなかったが、GOE(出来栄え点)が伸びず、大きな加点は得られなかった。スピンやステップも低い評価のレベル1と2しか得られず、SPと通じても最高レベルの4は1つもなかった。体力面、技術面で大きな課題を露呈した。
単純な比較はできないが、今回の合計162・86点は今年の世界選手権で13位、昨年末の全日本選手権では7位にあたる得点だ。3大会連続の五輪代表への道はまだまだ険しい。今後は最終選考会の12月全日本選手権に出場するため、関東選手権、東日本選手権に出場する。「自己ベストを(SP、フリーの)両方で超えたい。自分への挑戦です」。全日本まで残り約3カ月‐、“ママでも五輪”に執念を燃やす「不死鳥」は、どこまで舞い上がることができるだろうか。