町田、決めた4回転 世界歴代5位でV

 「フィギュアGPシリーズ・スケートアメリカ」(19日、デトロイト)

 男子フリーはSP首位の町田樹(23)=関大=が174・20点でトップとなり、SPと合わせ世界歴代5位の合計265・38点をマークし、昨季の中国杯に続くGP2勝目を挙げた。高橋大輔(27)=関大大学院=は4位、小塚崇彦(24)=トヨタ自動車=は6位に終わった。アイスダンスのキャシー・リード、クリス・リード組は5位だった。

 「火の鳥」に乗って最後のスピンを終えると、じっと目を閉じた。「いけたな」。勝利を確信した町田。これまでの自己ベストを28・46点上回り、喜びをあらわにすると、すぐに気を引き締めた。「ソチ五輪の代表争奪戦には何のアドバンテージにもならない。まだまだ崖っぷちだと謙虚に受け止めていきたい」

 SPに続いて4回転ジャンプを決めた。3回転半からの連続ジャンプも大きな加点。代表争いのライバルとなる高橋、小塚に大差をつけた。それでも喜びに浸る気はない。背景には昨季の苦い経験があった。

 スケートアメリカで初の表彰台となる3位。中国杯ではGP初優勝を果たした。しかし一転、GPファイナルで6位に沈むと、全日本選手権は9位と大敗。気の緩みが原因だった。

 だからゼロから出直した。新しい自分に生まれ変わるため、1月には頭を3ミリに刈った。4月には拠点を米国から大阪に移し基礎に立ち返った。午前5時前に起床。フィギュアスケートの由来となった、氷に図形を描く練習を毎日繰り返した。

 今大会直前、台風の影響で急きょ1日早く渡米することになり、2日間練習ができなかった。この日は練習中に靴ひもをかけるフックが壊れるトラブルに見舞われた。それでも基礎から積み重ねた技は崩れなかった。

 小さいころからスケート漬け。「協調性が全くない。合わせる気がないのでチーム競技は向かない」。こう言い切る孤高の男は、昔から同じ読書家の堺雅人の大ファンでもある。

 「最終的に全日本選手権で優れた演技をして勝ち取りたい」。昨季の大敗は同じ舞台で倍返し。フィギュアの世界でも半沢直樹を実現し、初の五輪切符をつかみ取る。

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