羽生ミスミス3位「悔しいけど空回り」
「フィギュアGPシリーズ・スケートカナダ・第1日」(25日、セントジョン)
男子ショートプログラム(SP)の羽生結弦(18)=ANA=は連続ジャンプでまさかのミスが出て80・40点の3位。世界選手権3連覇のパトリック・チャン(カナダ)が88・10点でトップに立ち、織田信成(26)=関大大学院=が80・82点で2位につけた。無良崇人(22)=岡山国際スケートリンク=は73・08点で5位。女子SPは鈴木明子(28)=邦和スポーツランド=が情感豊かな滑りを見せ、65・76点で3位発進。グレーシー・ゴールド(米国)が69・45点で首位に立った。
怒りに震えるとは、このことだろう。演技を終えた羽生は自らにあきれるように首を振った。得点を待つ間、ブライアン・オーサーコーチに背中をなでられても、視線は落としたまま。口を真一文字に結んでいた。
「まあ、いいんじゃないですか」。第一声は強がり。すぐに本音が出た。「やっぱり悔しいです。本気で(優勝を)狙ってて、いつも以上に気持ちを高めていったので、すごい心残りがある。悔しいけど空回りした」
好調だった。直前の6分間練習でも、4回転を含むすべてのジャンプをきれいに決めた。「全体的に自信があった。いけると思っていた」。しかし、現実は違った。
冒頭の4回転ジャンプで軸がずれると、後半の連続3回転は1本目がまさかの1回転。「久しぶりに1というのを見たなという感じ」。こう笑ってみせたが、真の笑顔とは程遠かった。
それでも心が折れることはない。世界王者のチャンにもミスが出た。差は7・7点。「最低限にはとどめている。フィギュアはSPとフリーの2回で決まる」。当たり前のルールを口にしたのは逆転の自信があるからにほかならない。
スケートアメリカを制した町田樹(関大)が示すように、鍵を握るのは4回転の成否。この日の成功者はなし。フリーで2本決めればチャンスは十分ある。「悔しさは持っておいて、晴らせるようにしたい」。26日のフリー。誓った言葉を現実にする。