高橋、首位発進 SP得点世界歴代2位
「フィギュアスケート・NHK杯」(8日、国立代々木競技場)
男女のショートプログラム(SP)などが行われ、男子は高橋大輔(27)=関大大学院=が自己ベストを更新し、SP世界歴代2位となる95・55点で断トツの首位発進。織田信成(26)=関大大学院=が3位につけた。
崖っぷちのエースが、反撃の牙をむいた。フィニッシュで天にかざした手を力強く握りしめる。GPファイナル出場へ優勝しかない高橋が、完璧な演技で首位発進を決めた。
絶不調だった4回転ジャンプを軽やかに決め、波に乗った。バイオリンとピアノが紡ぐ劇的な曲にのり、得意のステップもさえた。表現力を示す5項目の構成点では異次元の9点台も並び「得点はビックリ。でも自信になる」と、うなずいた。
完敗に終わった初戦後、ニコライ・モロゾフコーチらと緊急ミーティングを行った。指摘されたのは、気持ちの甘さ。「あんな簡単にジャンプを失敗するのは、高橋大輔じゃない。五輪へ気持ちが向いてないんじゃないか?」。若手が台頭する激しい五輪代表選考から、どこか“逃げ腰”の自分がいた。「痛いところを突かれた」。厳しい叱咤(しった)で、ハートに火がついた。
今季SPのテーマ通り、まさに『希望』が見えた演技。ただ、高橋にまだ笑顔はなかった。「フリーでも決めてこそ、今後につながる」。さし込んだ一筋の光を目指し、ただ、がむしゃらに突き進む。