高橋、今季世界最高V 9点台ズラリ
「フィギュアスケートGPシリーズ・第4戦、NHK杯2日目」(9日、代々木第一体育館)
男子フリーで、SP首位の高橋大輔(27)=関大大学院=がフリーでもトップの172・76点をマークし、今季世界最高の合計268・31点で2年ぶり5度目の優勝を飾った。織田信成(26)=関大大学院=が253・16点で2位。高橋はGPファイナル(12月・福岡)出場へ大きく前進し、織田も可能性を残した。無良崇人(22)=岡山国際リンク=は6位に終わった。
スタンディングオベーションの中、高橋は悔しそうに何度も首をひねった。SPに続き、冒頭の4回転ジャンプに成功。ただその後、2つ目の4回転が3回転に、そしてトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)でお手つきした。
「気持ちの弱さが出ましたね」。表現力を示す5項目の構成点で異次元の9点台を並べても、満足感はみじんもなかった。
初戦のスケート・アメリカ後、ニコライ・モロゾフコーチに五輪へ向かう心構えの甘さを指摘された。「平常心のつもりが、逆に緩んでいた」。今大会は、結果がついてきても笑顔を見せることはほとんどなかった。
長光歌子コーチは「(06年)トリノ(五輪)は、がむしゃら。(10年)バンクーバー(五輪)もケガで何も考えない中だった。今は、ある程度のものを手にして気持ちを高める難しさがある」と苦笑い。もっとも、「今大会は本来の強さを見せてくれた。ホッとしました」と、ようやく本気モードに入った愛弟子の姿に安どの笑みを浮かべた。
GPファイナル確定とはいかなかったが、今季世界最高得点で優勝し、同大会出場へは限りなく近づいた。「ようやく五輪へ向かう舞台に立てた。ここからは本当のスタート」。戦国模様の日本男子五輪代表争い。遅ればせながら、役者が反撃ののろしを上げた。