真央「よしっ!」会心の演技で首位発進

 「フィギュアスケート・GPファイナル」(5日、マリンメッセ福岡)

 女子SPは浅田真央(23)=中京大=が72・36点で、2連覇に向けて首位発進した。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)はわずかに回転不足となったが、以降は安定した滑りで得点を重ねた。アデリナ・ソトニコワ(ロシア)が2位、アシュリー・ワグナー(米国)が3位だった。

 心の底から会心と思える内容に、喜びの感情があふれ出た。腕を振り下ろし拳を握る。そして、思わずその場でステップも踏んだ。「よしっ!」。完ぺきな着氷に見えた冒頭のトリプルアクセル。ジャッジではわずかに回転不足を取られた。得点は今季のスケートアメリカに及ばない72・36点。ただ、それでも真央は充実の表情でうなずいた。

 「回転不足でしたけど、気にしてない。今季のアクセルの中で一番良かった」

 これまで真央のジャンプを厳しい目で見続けてきた佐藤信夫コーチも「私の肉眼では良かった。かなり流れのあるいいジャンプ。よく頑張ったと思う」と、目を細めた。バンクーバー後、ジャンプを基礎から見直してきた。苦節3年。一から磨き抜いた“伝家の宝刀”が、ほぼ完成の域にきたことを認めた。

 今大会はSP、フリーとも衣装を新調した。この日のSPではNHK杯までの薄い紫から、赤に近い濃いめの紫を入れたドレスに変更。フリーの衣装は今季2度目の変更で「今はやれる限りのことはやらないと」(同関係者)。集大成の五輪に向けて、周囲も万全の準備を整えている。

 前夜には、初の福岡での楽しみだった水炊きに舌鼓を打った。「初めて食べたけど、おいしかったです!」。ソチ五輪選考に絡む大一番にも、気負いは全く感じられない。フリーではバンクーバー五輪シーズン以来となる2回のトリプルアクセルを入れる予定だ。「今日のような演技なら必ず2回跳べる」と、もう1度拳を握った。

 GPファイナルの裏では、ザグレブで行われるゴールデンスピンでバンクーバー五輪女王のキム・ヨナ(韓国)が復帰する。約9000キロの距離を隔てた、世界が注目する“ソチ前哨戦”。主役の座は譲らない。

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