羽生ソチへ大前進!世界歴代2位で初V
「フィギュアスケート・GPファイナル」(6日、マリンメッセ福岡)
男子SP首位の羽生結弦(18)=ANA=が、フリーでも1位の193・41点をマーク。合計で世界歴代2位の293・25点で初優勝し、14年ソチ五輪代表へ大きく前進した。日本男子のGPファイナル制覇は、昨年の高橋大輔(関大大学院)に続いて2人目。世界王者のパトリック・チャン(カナダ)が2位。日本勢では織田信成(26)=関大大学院=が3位、町田樹(23)=関大=は4位だった。
氷にひざまづくフィニッシュのまま、羽生は崩れ落ちた。息を整えながら立ち上がると、不満げに頭をかきむしった。GPファイナル初優勝に、18歳の若武者は精根尽き果てていた。
4回転サルコウの転倒など、ミスはあった。演技終盤は疲労でフラフラだった。それでも、攻め抜いた魂の演技は人々の心を打った。フリー、合計点とも世界歴代2位で、世界選手権3連覇中のチャンを今季3度目の対戦で撃破した。
日本男子2人目のGPファイナル制覇。この優勝で、ソチ五輪切符をほぼ手中にした。「条件はクリアしたと思う。大きな一歩」と、確信してうなずいた。
子どものころのヒーローは、トリノ五輪金メダリストで“ロシアの皇帝”プルシェンコ。8歳の時にテレビで見た02年ソルトレークシティー五輪で圧倒的なジャンプ、感情をむき出しにするような表現力に心酔した。そして、初めて五輪に出たいと強く意識した。
中学生のころ、アイスショーで初共演した時には「僕のヒーローだと知っていたらしく、すごくカッコいいことばかり言っていた」と明かした。羨望(せんぼう)のまなざしを送っていた少年は、次代を担う選手になった。4度目の五輪を目指すプルシェンコは、五輪での最大のライバルに羽生の名前を挙げているという。
絶対王者を撃破し、一躍金メダル候補へと躍り出た。7日で19歳になる。「正直、点に関しては出過ぎたと思う。もっと強くなりたい」。ソチ五輪で新たな“皇帝”となるだけの資質を、世界に見せつけた。