「フィギュアスケート全日本選手権」（２１日開幕、さいたまＳＡ）

　元世界女王が一発逆転を狙う。３季ぶりの全日本選手権出場となった安藤美姫（２６）＝新横浜プリンスク＝は、前日練習で３回転‐３回転の連続ジャンプを成功。「健康面など自分なりのベストな状態で入った。頑張りたい」と意気込んだ。

　競技者として２季の休養に加え、７月には、４月に女児を極秘出産したことを電撃発表。集大成と位置づけた今季は、強化選手から外れた。五輪出場に向けては関東選手権、東日本選手権とまさに一からステップを踏み、最終選考の舞台にはい上がってきた。「この全日本は母ではなく、選手として来ている」と闘志をあらわにする。

　依然として、夢切符へのハードルは高い。今月、クロアチアで行われたゴールデンスピンでは合計１７６・８２点で準優勝。今大会出場選手中で３番目のシーズンベストスコア。それでも「日本のトップレベルとは、まだまだ対等に戦えない」と冷静に自己分析する。

　今大会前には練習中に腰も痛めた。「ドクターストップで練習もあまりできなかった」。さらに「東日本での５コンポーネンツ（表現力などを示す５項目の演技構成点）は４点台、５点台だった。オーストリア（１１月のアイスチャレンジ）、クロアチアと海外の大会では、すごく良い評価で自信になったけど、全日本は日本の大会なので…」と不安も吐露した。

　険しい五輪への道。「シーズンの初めに、（今大会の）優勝しか道はないと言われたので厳しい。四大陸選手権（１月末・台北）もあるし、まずは強化選手に戻してもらえるのが一つ。全日本は今季、一番大きな試合。今のベストを尽くしたい」。２度の世界選手権覇者として、こん身の演技を見せる。