羽生が逆転V!五輪、GPと併せ3冠
「フィギュアスケート世界選手権・男子FS」(28日、さいたまSA)
男子フリーでショートプログラム(SP)3位のソチ五輪金メダリスト、羽生結弦(19)=ANA=がフリーで逆転し、合計282・59点で初優勝した。日本男子の世界王者は10年大会の高橋大輔(関大大学院)に続いて2人目で、日本人で初めて五輪、GPファイナルとの3冠に輝いた。SP首位の町田樹(関大)は2位に入り、日本勢では07年大会女子の安藤美姫、浅田真央以来2度目のワンツーフィニッシュ。小塚崇彦(トヨタ自動車)は6位だった。
追いかける王者は強かった。SP首位・町田との差は約7点。「僕、フリーで追いかける方が好きなんで」。2種類の4回転を跳ぶ高難度プログラムを決め、大逆転優勝を成し遂げた。
冒頭の4回転サルコウ。跳び上がった瞬間に「コケるな、と思った」‐。力ずくで着氷させると、SPで転倒した4回転トーループもクリア。演技後には銀盤に突っ伏すほど、すべてを出し切った。
自己ベストには及ばなかったものの、191・35点をマークした。「逆転できた要因?意地と気合です」。爽やかな王者が口にした、泥くさい精神面。負けず嫌いの羽生らしさがのぞいた。
01‐02年シーズンのヤグディン(ロシア)以来、2人目となるGPファイナル、五輪、世界選手権の3冠王者が誕生した。オーサー・コーチは「誇りに思う」と熱い視線を送ったが、羽生の目は先を見る。主要タイトルを総ナメにしても「今年の大きな大会で勝てたというだけ。来シーズンや、その先のシーズンの試合にはまだ勝ったわけではないので」と、どこまでもどん欲だ。
さらなる高みへ。最強の称号をほしいままにした新王者の物語は、まだまだ続く。