羽生 まさか…SP2位「最悪の一言」
「フィギュアGPシリーズ第3戦・中国杯」(7日、上海)
男子ショートプログラム(SP)が行われ、ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(19)=ANA=は、後半のジャンプが乱れ、82・95点でまさかの2位発進となった。マキシム・コフトゥン(ロシア)が85・96点で首位。田中刑事(19)=倉敷芸術科学大=は、最下位の11位だった。
これが勝って当然と思われる者の重圧か-。昨季、GPファイナル、五輪、世界選手権の3冠を達成した羽生の今季初戦。力の違いを見せつけるかと思われたが、後半のジャンプが乱れた。
世界記録の自己ベストを20点近く下回り、まさかの2位発進。演技を終え、自嘲気味に笑った羽生は「もう最悪の一言。ひどかった。わりと、ちゃんと普通に、多分、リンクに立てたと思ったんですけど」と表情をゆがめた。
9月中旬、練習中にジュニア時代からの持病である腰痛を発症。予定していた10月のフィンランディア杯を欠場した。治療しながら、練習量を落とし調整してきたが、順調さを欠いた影響が出た。
今季のSP、ショパンのピアノ曲「バラード第1番」。軽快な旋律とともに冒頭のトリプルアクセルを軽やかに決めたが、基礎点が1・1倍される演技後半に入れた4回転トーループが3回転になると、最後の連続3回転は、最初のルッツの着氷が乱れ、単発になってしまった。
ただ、首位コフトゥンとは3点差。十分に逆転圏内だ。日本男子フィギュアの顔として、“流れ”に乗り遅れるわけにはいかなかった。ここまでGP2戦はスケートアメリカで町田樹が、スケートカナダでは無良崇人が優勝。これまで男子をけん引してきた高橋大輔が現役引退し、新たな時代の息吹が吹き始めた中で、王者として譲れないものがある。
フリーは「オペラ座の怪人」。「しっかりと自分の演技をしたい」。フィギュア界の主役は誰なのか-。渾身(こんしん)の演技で証明する。