“女優”宮原が2連覇へSP首位
「フィギュアスケート全日本選手権」(26日、真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)
女子ショートプログラム(SP)は2連覇を狙う17歳の宮原知子(関大高)が73・24点で首位発進した。昨年2位の本郷理華(邦和スポーツランド)が68・39点で2位、2年ぶりの出場で7度目の優勝を目指す浅田真央(中京大)は62・03点で5位と出遅れた。
北の大地の氷を溶かすような熱いフラメンコの舞だった。前年の覇者・宮原は、冒頭の3回転ルッツ-3回転トーループなどジャンプはすべて成功。スピンもすべてレベル4を獲得し、華麗なステップに観客は立ち上がって拍手を送った。「70点を超えるためにやってきた」という自身初の大台に、国際スケート連盟(ISU)非公認大会ながら到達した。
今季はNHK杯でグランプリ(GP)シリーズ初優勝、GPファイナル2位と飛躍した。昨季は不在の浅田真央も今大会は出場。樋口新葉、白岩優奈らジュニアの台頭も著しく、役者はそろっている。今の実力を見せつけるには絶好の場だ。
しかし、本人は「今年最後の試合。2015年を気持ちよく終わりたい」とあくまで自然体。連覇へ向けては「ものすごく自信がある感じでもないけど、何回も試合を重ねてきたから」と、いつもどおり控えめに語る。
今どきの女子高生とはまったく違う物静かなイメージを持つ。しかし、この日のSP前には屋内のアップルームが狭すぎたのか、報道陣のプレスルームを使って猛ダッシュを繰り返すなど実は静かな闘志を秘めている。内なる熱は舞台で放つ、まさに“女優”だ。
「普段の自分は変えられないが、氷の上では違う人になろうとしている」。氷上のきめ細やかな演技や表情も研究のたまもの。挑発的に観客をあおる“色気”は、普段のあどけなさからは想像できない。
フリーでは「自分の世界観をつくりだしたい。自分の納得いく演技をしたい」と言う。貫禄すら漂わせたSPで連覇に手をかけた。