和田監督の次女は甲子園で売り子のバイト…ファンのヤジや罵声を心配
【2011年10月29日付デイリースポーツ紙面より】
「阪神・和田監督就任会見」(28日、大阪市内)
阪神は28日、和田豊打撃コーチ(49)の来季監督昇格を発表した。契約は3年。大阪市内のホテルで就任会見に臨んだ和田監督は、6年間優勝から遠ざかる現状にも、チーム状態が悪ければ遠慮なくヤジを飛ばすようファンに求めた。同時に、タテジマ一筋27年の猛虎愛を貫き、必ずヤジを声援に変え、1年後にはファンとともに歓喜の瞬間を味わうことのできるチームづくりを誓った。
ファンと同じように、いやそれ以上に虎を愛する男としての熱いメッセージだった。和田監督は「お手柔らかにということではなく、一層、悪いものは悪いと言っていただきたい。われわれも応援していただいているファンの皆さんを絶対に喜ばせるという気持ちで、すぐにでも野球に取り組んでいきたい」と虎党に呼びかけた。
阪神ファンと言えば、熱狂的な応援で知られるが、ときにそれは容赦ないヤジや罵声に変わる。真弓阪神が惨敗すればしった激励の言葉が球場を飛び交った。新監督はそんなファンの思いを真正面から受け止める考えだ。
実は今季、甲子園のスタンドで次女の彩美さん(20)が売り子のアルバイトをしていた。ファンのヤジや罵声に間近で接した彩美さんは「子供ながらに大変だなとか、大丈夫?というニュアンスのことも言っていた」(和田監督)と今回の就任を心配していたという。
さらに、彩美さんは来季も売り子を続けるかどうか「もうできないかな」と話していたという。だが、和田監督は「僕は別にかまわない」とキッパリ。「お父さんの罵声が聞こえるところでかわいそうかなと思うが、まあそうならないように頑張ります」と、父として娘を悲しませるような結果にはしないと誓った。
そのためにはチームを常勝軍団へと復活させるしかない。理想は広い甲子園にマッチする守りの野球。ただ現有戦力を見れば、急激な変化はかえってマイナスになる。「現在のレギュラーとあとは後半少しずつ出てきた若手をミックスして、新しいタイガースをつくっていければ」と話した。
もちろん、3年間という契約期間に甘えるつもりなどない。来季の目標は優勝。「1年、2年、3年目に優勝争いということでなく、私も来年勝負をかけるくらいのつもりで、やっていきたい」と決意を示した。
選手、コーチとしてタテジマのユニホームに袖を通して27年。現役時代、チームの中心選手になったころ、野球よりもタイガースへの思いが上回った瞬間があったという。それ以来、チームを強くしファンに喜んでもらいたい一心で取り組んできた和田監督。猛虎愛は誰にも負けない。チームを7年ぶりの優勝に導いてみせる。