前田智&堂林“師弟”でお立ち台初競演!堂林「神様です。夢のよう」
【2012年6月11日付デイリースポーツ紙面より】
「交流戦、広島5-2オリックス」(10日、マツダ)
赤ヘルが20歳差の師弟コンビで逆転勝ちし、連敗を止めた。広島・前田智徳外野手(40)が七回に代打で決勝打を打てば、若き堂林翔太内野手(20)が七回の同点打に続き、八回にダメ押し打の計4打点の大暴れ。2108安打の天才打者は常日頃から鯉のプリンスに“打撃の極意”を授けてきた。スター豪華競演で逆襲へ最高の弾みを付けた。
愛弟子の一打で同点に追い付き、迎えた一気の逆転機、師匠が応えないわけにはいかない。七回1死二塁、代打に前田智がコールされると、球場は大興奮に包まれた。
追い込まれたが、寺原の132キロの変化球に反応。すくった打球は中前に落ちた。堂林が三塁を蹴り、ホームへガッツポーズしながら滑り込む。勝ち越しを見届けた天才打者は一塁で両拳を握った。
「頭にない球。良い詰まりだった。いいところに落ちた」と満足げ。適時打を打った最近4試合は、終盤に逆転を許し4連敗となっていた。執念の10打点目はようやく勝利につながった。
今季打率・409。得点圏は18打数7安打で打率・389と驚異の勝負強さを発揮する。本格的な代打稼業は3年目。昨季も故障した満身創痍(そうい)の下半身に不安はあるが、14日に41歳を迎える技術はさえわたるばかりだ。
「前回と同じパターン。流れは悪かったけど、4、5番がチャンスをつくり堂林が雰囲気を変えた」。前回5月26日のオリックス戦(ほっともっと)と同じ0‐2の戦況をじっと読み、登場するやいなや試合を決めた。
若手を驚かすのが、自身以外の選手の全配球もインプットする野球脳。「配球が変わってるぞ。考えろ」‐。若き堂林も「打席での考え方」など助言を受け続けてきた。
授かった極意がこの日、まさに生きた。0‐2の七回1死二、三塁では変化球を中前へ同点2点打。3‐2の八回1死満塁では再び変化球を中前へはじきダメを押した。
前日は3度の得点機に凡退。「悔しさを晴らしたかった。変化球は頭に描いていた」。師弟で全5打点をたたき出した。
前田智はプリンスに言う。「今年、来年、再来年、3年経験して反省して、すべてのプレーを忘れずに記憶して、足りないところを努力していけ」。次代の鯉を背負って立つ男と認めるからこその“金言”を授けた。
堂林は「神様です。(お立ち台競演は)夢のよう」とニンマリ。お立ち台で初競演した20歳差のスター同士が鯉党に希望を与えた。