北島引退「悔いはない」リオへ講師役も

 競泳男子で04年アテネ、08年北京両五輪2大会連続平泳ぎ2冠の北島康介(33)=日本コカ・コーラ=が10日、東京辰巳国際水泳場で引退会見を行い、「幸せな選手生活だった。悔いはない」と振り返った。今後は、09年に設立した会社の社長業を中心に活動するみられる。一方で、平井伯昌代表ヘッドコーチは「リオ五輪に向けて北島の力を借りたい」と話しており、代表合宿に呼んで講話する可能性もある。

 競泳界のスーパースターが、第二の人生に向けて泳ぎ出す。スーツ姿で出席した北島は、晴れやかな表情で約30年の選手生活を述懐した。「レースは1、2分で終わるけど、それまでの過程がすごく濃い。それがなくなるのは、心に穴が空いた感じになってしまうのかな」と、寂しさものぞかせた。

 今後は、スイミングスクールの運営などを行う会社「インプリント」の社長業が中心になる。一方で「(五輪に向けては)家族との時間を取れなかった」と話し、一家のあるじとしての顔にも戻る。

 競泳への今後の関わり方は未定だ。日本水連の青木会長は「選手としてリオに行くと思っていたので、(コーチ招へいなど)何も考えていない。しばらくは外側から水泳界を見てもらう」と話した。北島は「指導者になりたいとは、そんなには考えてない」とした上で、「日本のスポーツ界、水泳界に貢献したいという気持ちが強い」と話した。

 リオに向けて“北島教室”を開くプランも浮上した。競泳委員長を務める平井代表ヘッドコーチは「五輪本番で戦える選手を鍛えるために、北島の力を借りたい」と話し、5月の代表合宿中に北島を講師として招へいする考えを明かした。

 日本競泳最後の金メダリストであり、流行語大賞も獲得した国民的スター。テレビ解説などのオファーも殺到しそうだ。会見で北島は「自分が引いて、世界で戦う若手を応援したい」と話した。プールの内外から“第2の北島”育成に貢献していく。

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