内村先制パンチ「ライバルは自分自身」

 リオデジャネイロ五輪に出場する体操男子日本代表が10日、都内で強化合宿を公開した。主将に就任した内村航平(27)=コナミスポーツ=は、リオ五輪がオールラウンダーとして臨む最後の五輪となる可能性を示唆した。

 現在、個人総合ではロンドン五輪、世界選手権6連覇を含め7年半負けなしの37連勝中。ただ、さすがに4年後は考えられない。13年に20年東京五輪開催が決定した時にも「東京は出たいけど、体力的に6種目は難しい。種目を絞って狙いたい」と話していたが、この日も「ふとテレビで東京五輪のことをやってると、その時の自分を想像するけど、個人総合は無理だなっていう考えになる。やりたくないっていうのもあるんでしょうね、たぶん。個人総合をそこまで長くは」と、改めて話した。

 その上で「僕がもしそこまで個人総合で日本のトップでやっていたら、なおさら日本の体操界に未来がない。これだけいい選手がたくさん出てるのに、まだあいつが上かよって」と体操ニッポンの未来を見据えながら「できれば今後は健三(白井)にも日本一になってもらいたいし、世界一にもなってもらいたいと思ってる。次の世代の選手が引っ張ってくれないと東京五輪は厳しい」と、五輪代表になった白井に、“絶対王者”の後継者としての期待を掛けた。

 だからこそ、オールラウンダーとしての集大成となる可能性が高いリオで、悲願の団体金メダルに懸ける思いは強い。中国メディアの「ライバルは?」との問いには「自分自身」と、キッパリ。昨年まで壁となり続けてきた最大の難敵の名を挙げず、自分との戦いに焦点を絞った。

 昨年の世界選手権で日本に7連覇を阻まれた中国は、警戒心を強めている。先日の全日本種目別を代表コーチが極秘視察。内村を「日本の絶対的核心」として最大級の注意を払っているという。

 代表決定後、「世界で1番強い5人」と話したチームメートにも、「主将になったけど、本当に何もいうことがないぐらい、頼りがいのあるチームメート。逆に自分が心配になるぐらい」と、改めて全幅の信頼を置いた内村。1番の目標は団体金メダルで、04年アテネ五輪“栄光の架け橋”を超える感動を呼ぶこと。「僕らの1番強い代で、あのアテネを乗り越えていかないといけない」。内村の美しい放物線が、体操ニッポン新伝説を刻む。

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