【伊藤鐘史が斬る】後半、田中らリザーブ入って状況判断できるジャパンになった

 「ラグビーW杯・1次リーグA組、日本30-10ロシア」(20日、味の素スタジアム)

 アジア初開催となる第9回のW杯が開幕し、1次リーグA組の日本は30-10でロシアを下し、初の8強入りへ好スタートを切った。

  ◇  ◇

 開幕戦の相手がロシアで良かったです。緊張感や硬さが出てしまい、60分ぐらいまではどちらに転んでもおかしくなかった展開。もつれた中で、MVPを挙げるならラブスカフニと田中です。

 ラブスカフニは後半、ターンオーバーから貴重なトライを奪いました。そして、日本のゴール前でのスクラムでは相手の反則を誘う献身的な働きをしました。

 田中は最後のトライの場面で、クイックスローを入れました。そして裏のスペースを見て蹴ってもいました。高いレベルでの状況判断は、高い経験値がものを言っています。

 松島はチャンスをしっかりトライにつなげました。しかし、それ以前のプレーに良さがありました。前半38分のトライにしても、タックルされながらもつないだ中村のオフロードパスに、練習で培ってきた成果が出ていました。

 最後の20分でようやく日本代表らしい戦いができました。田中らリザーブが入って、状況判断ができるジャパンになりました。経験値の高い選手がリザーブに多かったから、先発陣にとっては心強かったはずです。

 ただ課題は2つあります。6日の南アフリカ戦からハイパントキャッチが不安ですし、スクラムにおけるファウルで一気にピンチに陥りました。スクラムについては、日本代表の強みである低さを出していった方がいいです。

 アイルランドはセットプレーで崩しにきます。そして、日本はキックキャッチで手こずっています。この2点を互角に持っていくこと。そして状況判断の速さ、的確さ、テンポの速いラグビーを心掛けることが、勝利へのポイントになります。(2015年W杯日本代表ロック。現京産大コーチ)

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